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2005年08月19日(金) 裸の生活

夏のどこがいいのかというと、やはり何と言っても、裸でいれることである。
ぼくは夏になると、家ではほとんどパンツ一枚で過ごしている。
小さい頃から、夏はずっとこうである。
当時はエアコンなんてなかったので、こうするしか涼をとる方法がなかった。
これはぼくだけでなく、近所の人もみなそうで、子供はもちろん、おっさんたちもこの格好で涼んでいたものだった。
おそ松くんに出てくる、デカパンのおっさんのようなものである。

エアコンが普及しだしてからは、さすがにこんな格好をしている人は見かけなくなった。
こんな格好が一番似合う子供でさえも、ちゃんと体裁のいい服を着て遊んでいる。
子は親を見て育つらしいから、きっとその親たちも体裁のいい格好をして家の中にいるのだろう。

しかし、ぼくの場合、エアコンを入れないから、この姿がちょうどいいのだ。
この姿で汗をかきながら、「暑い暑い」と言いながらビールを飲んだり、スイカやかき氷を食べるのが好きである。
ところが、そういう時に、郵便や宅急便なんかが来るとちょっと面倒である。
印鑑を押す、たったちょっとの時間のために、Tシャツを着て、暑苦しいズボンをはかなければならないからだ。
もちろん、彼らが帰ったあとはすぐにまた脱ぐのだが、たったそれだけの時間でも、Tシャツはしっかり汗を吸い取っている。

動物はもちろんだが、人間も基本的には服を着ることが嫌いな動物だと、ぼくは思っている。
その証拠に、赤ちゃんは服をいやがり、靴下をいやがり、靴をいやがるではないか。
何がそういった物を嫌わせるのかというと、それは本能である。
でなければ、何も知らない赤ちゃんが、そういう物を嫌うはずがない。

ということで、どうして裸がいいのかというと、本能に戻れるからだ。
だからこそぼくは、この季節を好むのである。
そして、秋の訪れを悲しむのである。

ぼくは年中夏を追っている。
初夏という言葉に喜び、立秋という言葉は見聞きしないようにし、夏は彼岸までという気象学上の季節区分を尊び、限界が来るまでパンツ一丁の生活をし、秋冬には「あと何ヶ月で初夏だ」と自分を慰めている。
テレビやラジオで童謡『小さい秋みつけた』がかかっていると、すぐに消してしまう。
ススキやコスモスも見たくない。
コオロギや鈴虫の音なんて、もってのほかだ。


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