2005年06月26日(日) |
ヒロミちゃんがやってきた(その3) |
嫁ブーの会社に着く頃、タイミングよく嫁ブーから仕事が終わったと連絡があった。 嫁ブーを乗せたあと、車を置きに帰ることにした。 居酒屋に行くためである。 ところが、家の駐車場に着いた時、時間はもう10時を回っていた。 「おい、居酒屋のオーダーストップは何時か?」 「普通の店は10時半やないと」 「10時半か。じゃあ、もう店に入れんのう」 「ああ、そうやねえ」 「どうしようか、腹減ったしのう…。あっ、おまえ『dug』に電話してみ。もしかしたら、今からでも食べさせてくれるかもしれん」 「あ、そうか。dugがあったねえ」 dugというのは、ぼくたちの行きつけの喫茶店で、地元では焼きカレーで有名なところである(※dugに関しては、2001年2月4日の日記に書いているので、そちらをご参照下さい)
さっそく嫁ブーはdugに電話を入れた。 「もしもし、ゆきですが、今からいいですか?」 「焼きカレーでいいと?」 「それで充分です」 ということで、居酒屋での酒盛りは急遽中止になり、ぼくたちはそのまま車でdugに向かった。
dugでのヒロミは、いつもと違って大人しかった。 マスターとぼくたち夫婦の会話を、薄ら笑いを浮かべて聞いていただけだった。 マスターの前で何かおかしなことを言ってくれることを期待していたのだが、肩すかしを食らってしまった。
しかし、その日はそれで終わらなかった。 家に帰ってから、ヒロミはその本領を発揮したのだ。 dugでビールも飲めなかったぼくたちは、近くのコンビニに行ってビールを買い、家で酒盛りを始めた。
ヒロミはそこでずっとガンの話をしていた。 父親をガンで亡くしているので、自分もそうなるのではないかと心配しているようなのだ。 話の中で、ヒロミは二度ガン検診を受けたと言っていた。 一度は肺あたりが痛くなって、「これはガンかもしれない」と思い、医学書を買い込んだと言う。 それを見ていると、どうも自分がガンのように思えてきた。 そこで、医者に駆け込んで、こういう症状なので検査して欲しいと言った。 医者は笑って「ガンじゃないですよ」と言ったが、ヒロミは強く「検査してください」と頼み込んだ。 医者は渋々検査をしたという。 「検査の結果は、どうやったんか?」とぼくが聞くと、ヒロミはその結果が気に入らなかったのか、怒った顔をして「なーんともなかったけね」と言った。
もう一度は胃に違和感を感じ、「これはガンかもしれない」と思い、前に買った医学書を読んだ。 そして、また医者に行った。 その時も医者は笑って受け付けようとしなかった。 そこでヒロミは、医学書に書いていた症状を全部言って、無理矢理検査をさせたらしい。 しかし結果は、「なーんともなかったけね」である。
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