今日、ふとしたことがもとで、長谷観音に行った。 長谷観音と言っても、別に鎌倉や奈良に行ったわけではない。 北九州市に隣接する鞍手町にあるのだ。 鞍手町というと、この間この日記でお知らせした貴黄卵生産直売農場と同じ町だが、長谷観音はそこからさらに奥に行ったところにある。 この観音さんは知る人ぞ知る観音さんで、知らない人はまったく知らない。 かく言うぼくも、つい最近までその存在を知らなかった。
何で知る人ぞ知るのかというと、実はここの観音さんは、鎌倉や奈良の長谷観音と同じ木から出来ているらしく、当然のごとく国宝に指定されているのだ。 ところが、テレビやラジオで紹介しているのを見聞きしたことはないし、太宰府天満宮や宮地岳神社のようにCMも流れていない。 さらには県の観光案内にも載っていない。 これでは知りようがないではないか。 もし紹介しているものがあるとすれば、それは鞍手町とか筑豊という狭い地域の観光案内くらいではないだろうか。 ということで、この観音さんを知っているのは、地元の人か信仰の厚い人から口伝えで聞いた人くらいなものだろう。 ぼくもその口だった。
しかし、まさかこんな近くに、国宝があるとは思わなかった。 最初にそれを知った時は、半信半疑だった。 国宝といえば、この辺だと太宰府ぐらいにしかないと思っていたからだ。 で、それを聞いてから、さっそくそこに行ってみたのだが、先に書いたように、周りは普通の田舎である。 看板も幹線に掲げてある大きな看板とは違い、小さな看板が所々にあるだけで、気をつけていないと、すぐに見落としてしまう。 何度も道を間違え、ようやくたどり着いた長谷観音だったが、その時拝んだ観音さんはダミーだった。 本尊は、毎月17日と18日にしかご開帳しないことになっているらしいのだ。 ということで、それからは、その日を狙っていくようになった。
ところで、今日はご開帳の日でもないのに、わざわざ長谷観音まで何をしに行ったのかというと、実は寺の前にある食堂に、昼飯を食べに行ったのだ。 午前中に歯医者に行ったのだが、家に帰ると嫁ブーが、変な顔をしてこちらを見ているではないか。 「何か?」とぼくが聞くと、「腹減ったんよ」と言う。 「何か作って食べればいいやろ」 「面倒やん。ね、どこかに食べに行こう」 「どこに行くんか?」 「どこでもいい」 「何が食いたいんか?」 「何でもいい」 「街中と田舎と、どっちがいいか?」 「おまかせします」 「じゃあ、田舎に行こう」 ということで、長谷観音に向かったのだ。 なぜ長谷観音を選んだかというと、ぼくが知っている田舎の食堂で、通りに面していないのは、そこしかなかったからだ。 せっかく食べるのなら、車の通らない空気のおいしいところで食べようと思ったわけだ。
今日も何度か道に迷ったが、何とかたどり着いた。 せっかくだからと言うので、ダミーの観音さんに手を合わせ、それから食堂に入った。 頼んだものは、ぼくが丸天うどんとご飯、嫁ブーは山かけそばとおにぎりだった。 そういうものが特においしいわけではない。 が、一品だけ「これはおいしい」というものがあった。 それは、ご飯に付いてきた床漬けである。 まさに田舎ならではの味だった。
さて、長谷観音に着いてから30分もいただろうか。 食事を終えたぼくたちは、他に寄るところもなかったので、さっさと家に帰ったのだった。 帰り着いてから車のメーターを見てみると、往復で40キロ走っていた。 ということは片道20キロか。 ちょっと遠かったかなあ…。 しかし、こういう昼食もわりといいものである。 また機会があれば、やってみようと思っている。
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