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2005年05月28日(土) 高校時代のヒロミちゃん

昨日、野暮用のため、歯痛をおして嫁ブーの実家に行った。
そこでいろいろとごちそうを出してもてなしてくれたのだが、歯が痛いので当然食欲もなく、さらに味もわからないときている。
そのため早々と食事を終え、テレビで野球を見ながら一人暇をもてあましていた。
歯は痛いし、嫁ブー実家の話題について行けないし、おまけにソフトバンクも途中から逆転されるし、でクソ面白くない。
と、その時だった。
20年近くも忘れていた、あることを思い出したのだ。
それは、ヒロミの高校時代の写真を見ることだった。

20年近く前に、一度ヒロミから高校の卒業アルバムを見せてもらったことがある。
が、そこには肝心のヒロミの顔はなかった。
ヒロミは、そこに載っている自分の顔が気に入らないといって、その部分だけをマジックで黒く塗りつぶしていたのだ。
「これじゃヒロミの顔が見れんやないか」
「いいやん、ボリ(後の嫁ブー)見とったら」
「ボリの顔だけ見とっても面白くないやろ」
「今度、違うの持って来ちゃるけ」
「それならしかたない。ボリから見せてもらおう」
最後にぼくはそう言ったのだが、以降そのことを忘れていたのだ。

20年ぶりにそのことを思い出したぼくは、さっそく嫁ブーに高校の卒業アルバムを持ってこさせた。
「で、ヒロミはどこに載っとるんか?」
「ここよ」
そう言って嫁ブーは、ヒロミの載っているページを開いた。
そのページの中央付近に、ヒロミは載っていた。
ぼくが「きれいやん」と言うと、嫁ブーは「そうやろ」と同意する。
「何でヒロミはこの写真が気に入らんとか?」
「知らんよー。ヒロミ、このアルバムをもらって、すぐに自分の顔を消したんやけ」
「そういえば、ヒロミはこの間のメールで、『卒業写真の顔、死んどるけ』と書いとったのう。そうは見えんけど」
「本人はこの顔が嫌いなんやろね」

「ところで、ヒロミは高校時代も、あんなふうやったんか?」
「うん、全然変わってないよ」
「何か面白いエピソードあるか?」
「エピソードねえ…。あ、そういえば…」
「何かあるんか?」
「一時期ねえ、ヒロミ、駅前で売っていたドラえもんのどら焼きに凝ったことがあるんよ」
「そうか」
「それでね、あんまり食べ過ぎて太ったんよ」
「うん」
「普通なら、食べるの控えるやん」
「うん」
「でもヒロミは違ったけね」
「どうしたんか?」
「あいつねえ、食べるだけ食べて、すぐに下剤飲んで出しよったんよ」
「えっ、食べたものを、すぐに垂れ流しか?」
「うん」
「ヒロミらしいのう」
「ヒロミ、一度下剤飲んで試験受けたことがあったんよ。それで途中で催したみたいでね。青い顔して『先生、トイレ』と言って、教室を出て行ったんよ。そのまま帰って来んかったけね」
「おお、こういうネタを待っていた。さすがヒロミやのう」

ぼくはさっそくその話を書いて、ヒロミにメールした。
ところが、ヒロミの話はちょっと違っていた。
『山崎の肉マンやない? バロンてパン屋さんで売ってたんよ。家ではおはぎばかり食べてて、みるみる太ってきたから、毎日ヨーグルト、パイン、西瓜、蒸しパンとか食べよったら、便秘になってしまったけ、一週間分を土曜にコーラック飲んでだしよったんよ。そしたら2ヵ月で10キロ痩せたんよ。まわりの痩せたい友達から毎日電話がきて、その日のメニューを聞かれたんよ』ということだった。

嫁ブーとヒロミの話は、どうも違う時期の話のようである。
が、いずれにしても笑える話である。


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