頑張る40代!plus

2004年12月01日(水) 左遷(12)

さて、それからしばらくしてのことだった。
店内である噂が流れた。
それは、店長が飛ばされるという噂だった。
電子レンジの件で、店長の本社での評価は下がった。
が、その後ちゃんと処理をしていれば、ある程度の汚名返上は出来ただろう。
ところが、その処理は思うように進んでいなかったのだ。
そのために、さらに評価を落としたということだった。
そういえば、電子レンジキャンペーンが終わった頃から、何度も本社の人間がやってきた。
きっと、その調査だったのだろう。

映像キャンペーンが残り一週間になった時だった。
本社から辞令が回ってきた。
それを見ると、何人かの人間がうちの店を出て行くようになっていた。
噂どおり、その中には店長も入っていた。

それに伴って、うちの店内も組織改正が行われた。
ぼくは店長に呼ばれた。
これで三度目である。
「しんた君。君は楽器売場に復帰してもらうようになった。映像部門に比べると小さな売場だが、また元の責任者に戻るわけだから…。まあ、頑張ってくれ」
これでぼくは、ようやく元の売場に戻れることになった。
だが、楽器売場は楽器売場でいろいろ問題を抱えていた。
ぼくの後任の人間が、テッポーを打ちまくっていたのだ。
その金額は、翌月の予算より多かった。
そのおかげで、2ヶ月間、ぼくはその処理に追われることになる。

ぼくが辞令を受けてから数日後、新体制がスタートした。
店長は新しい店長を迎えると、すぐに転任地に向かった。
その店は、四国の田舎町にあり、うちの店よりも規模が小さく、従業員数もうちの半数程度しかいない店だということだった。
つまり格下げになったということだ。

その後も、その店長は、いなか町店と同じような中規模の店ばかり回された。
それでも負けずに、店長なりに再起を狙っていたらしかった。
ところが、ある店にいる時に事件を起こした。
何と仕事中に店を抜けだして、ゴルフやパチンコにふけっていたのだ。
それを社長に見つかってしまい、さらに格下げされてしまった。
最終的に回された勤務地は、従業員数が十人ほどしかいない、小さな店だったという。
今、彼は本社にいるらしい。
もちろん、閑職である。
彼は間もなく60歳になるから、このまま再起できないままに定年を迎えることになるのだろう。

店長の、うちの店に来る前のポストは、本社でも花形の商品部部長だった。
その後栄転で、本店に次ぐ大型店だったうちの店にやってきた。
しかし、そこで汚点を残してしまった。
そして、その後はどんどん格下げされ、最終的には本社に戻れたものの、その席はかつての華やかな席ではなく、定年前の閑職の席でしかなかった。
それが彼の、社会人としての後半生だった。
つまり、ぼくを左遷した時から、彼の左遷人生が始まったのだ。
思えば皮肉な話である。 (完)


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