頑張る40代!plus

2004年11月26日(金) 左遷(7)

前の会社では、毎年秋になると2ヶ月間電子レンジの販売キャンペーンをやっていた。
これは全社挙げてやっていたもので、その部門はもちろん、他の部門の人間もノルマを課せられた。
そのノルマは、一人当たり100万円前後だった。
当時電子レンジの価格は10万円前後だったが、10本近く売らなければ、その金額に到達しない。
しかしそれは他部門の人間の数字である。
ホスト部門ともなると、この何倍も売らなければならなかった。

その当時の電子レンジといえば、すでに一般的な調理用品になっていて、かつて三種の神器と呼ばれていた頃のような、憧れの商品ではなくなっていた。
そのため、最初にそのキャンペーンを始めた頃のように売りやすい商品ではなくなっていた。
それをこの数字である。
会社に入った当初から、ぼくはそういう部門に行くのは嫌だった。

ぼくが店長から内示を受けたのは、そのキャンペーンの始まる前の月だった。
店長が大型部門と言ったので、「もしかしたら、電子レンジを売らされるのか」と頭の中を不安がよぎった。
そこで、皮肉は言うが、異動先の部門をなかなか教えてくれない店長に、「で、どこに行くんですか?」と聞いてみた。
「だから大型部門と言ったやろうが」
「もしかして、電子レンジですか?」
「おう、そうよ」
「そうですか…」
「おまえには、キャンペーンが終わったら、また異動してもらう。優秀な人間なんやけのう」
「え?」
「電子レンジが終わったら、次のキャンペーンがあるやろうが」
「映像部門ですか?」
「おう。その次も考えとるぞ」

店長はぼくをたらい回しにしようとしていたのだ。
電子レンジと映像と、確かに大型部門ではある。
が、どちらも専門的な知識が要求される部門なのだ。
そこに腰掛け程度の人間がいて、何の戦力なるだろうか。
やはり店長はぼくを辞めさせたがっていたのだ。
周りからいろいろ言われているから、いちおうぼくを大型部門に異動させた。
それで面目は保てる。
しかし、その部門に定住させることはしない。
部門を短期間で異動させることで、ぼくを追い込もうとしたのだ。
そのことはわかりすぎるほどわかっていたので、ぼくはその手に乗るようなことはしなかった。
店長が根負けするまで、じっくり待つことにしたのだ。

さて、翌月。
電子レンジの売場とはいえ、ようやく店に戻ることが出来た。
『これで、少しは気分的に楽になった』と思っていると、そこの売場の責任者が、「店長から、『しんたは外販が好きらしいから、あいつに各社員から出た見込み客の家を回らせて、売ってきてもらえ』と言われとるんよ」と言ってきた。
「また外回りですか?」
「しかたないやん、店長命令なんやけ」
結局、店長はぼくが店にいるのを許さなかったのだ。
その後店長は、ぼくが店にいるのを見つけると、「こら、行くところはないんか?店でボサーッとしてないで、さっさと外回りしてこい!」と言って、ぼくを追い出しにかかったものだった。
そのせいで、ぼくは何度も切れそうになった。
が、「絶対根負けさせてやる」と思い、我慢していた。


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