【1】 今はかなり良くなっているが、今日は目がひどいことになっていた。 朝、目が覚めた時、何となく左のまぶたが重く感じた。 まあ、そういうことはよくあることだし、放っておけば自然に治るので、それほど気にしないでいた。 ところが、何分か後に、まぶたの裏がコロコロしだした。 まつげが立っているのかと思い、洗面所に行って鏡を見てみた。 確かに2,3本、細かいまつげが目の中にあった。 そこで、まつげを取り出し、水道水で目を洗った。 これで楽になったと思いきや、しばらくするとまたコロコロが始まった。 そうこうしているうちに出勤時間が来てしまったので、治療は一時中断することにした。 車の運転には支障はなかったが、やはり気になる。 それは、20年ほど前に、やはりまぶたの裏がコロコロして、大変な目にあったことがあるからだ。
【2】 20年ほど前のある日のこと。 ちょうど仕事が休みで、今の嫁さんとファミレスに食事に行くことになった。 ファミレスは家の近くにあったので、歩いていくことにしたのだが、その途中で雨が降り出した。 傘を取りに帰ろうかとも思ったが、空を見るとすぐにやみそうに見えたので、その道の脇に生えていた木の下で雨宿りすることにした。 しばらくしてから、雨は小降りになった。 「さてそろそろ行こうか」と、その場を離れようとした時だった。 木の葉から落ちてきたしずくが、目の中に入ったのだ。 すぐにしずくを拭ったが、それがいけなかったのだろう。
翌朝、何か目の中がコロコロする。 「おかしいな」とは思ったが、その時もしばらく放っておいた。 ところが、そのコロコロでだんだん目が充血してきたのだ。 しかもコロコロ感はかなりひどく、角膜を傷つけているような気がする。 「これはまずい」と思い、眼医者に行くことにした。
眼医者に行くのは、小学生の頃トラコーマの治療に行って以来のことだった。 「どういう治療をするのだろう」と周辺の治療イスを覗いてみると、何と隣の治療イスでまぶたの切開をやっているではないか。 ものもらいのようなものを切っていたのだが、切った瞬間に血が吹き出ている。 それを見てぼくは、「もし切開すると言われたら、絶対に断ろう」と思ったものだった。
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