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2004年08月05日(木) 会社顛末記(1)

ぼくは前の会社に創業の頃からいた。
その頃は、各社員に「新しい会社を自分たちの手で作るんだ」という意気込みがあった。
そのおかげで仕事に対する充実感があった。
朝早く出ようが、帰りが午前を超えようが、そういうことは一向に苦にならなかった。
いや、苦にならないどころか、逆にそういうことを自慢していたくらいだ。
また、所得もかなり低かったのだが、これも我慢できた。
「今に人並み以上の収入を得られるようになる」
みな一様に、会社の将来を期待していたのだ。
当時の社員の平均年齢23,5歳、個性派揃いでいつも社内はいつもにぎやかだった。
が、人間関係はさほど悪くはなかった。

ところが、1年経ち2年経っていくうちに、だんだん状況が変わっていった。
いつまで経っても収入は上がらない。
それが会社不信に繋がっていく。
創業当初、いっしょに汗を流した仲間が一人減り二人減りしていった。
気がつけば、百数十人いた社員は半減していた。
会社にとっては、それはふるいにかけたということになり、プラスの要素だった。
しかし、戦力ダウンは、当然売上げに響いてくる。
不採算部門は次々と閉鎖、それがまた会社の魅力を損なうことになる。

その後、さらに社員数は減り、往時の3分の1の人員になった。
こうなると一人あたりの責任が重くなってくる。
個人単位での数字の追求が始まる。
いつしか会社は、「成績の悪い者は、自分で買え!」「売る気のない人は、辞めてもらってけっこうです」といった言葉を、普通に口にするようになった。
トップの威を借りた卑怯な上司は、かばうことをせずに、逆に口汚く部下を罵る。
会社の雰囲気は最悪なものとなった。

その状態に、さらに追い打ちをかけたのが、管理である。
初代のトップは、売上げ以外のことに関しては一切文句を言わなかった。
だから社員は、売上げの確保さえして入ればよかったのだ。
ところが二代目は違った。
それまで『是』とされていたものが、すべて『非』とされるようになったのだ。
この人は管理畑出身の人で、売上げよりも『収益』『売掛』『在庫』といった管理面を重視するタイプの人間だった。
そういうことに関しては実に細かかった。
そのために専門の調査員を雇ったりもした。
売上げがよかったらよかったで「裏で何かやっているんじゃないか」と穿さくするし、何か問題を起こせば全体朝礼の場で「悪人」呼ばわりするしで、社員はいつも戦々兢々としていた。


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