| 2004年06月23日(水) |
何が「社会党に入れてくれんか?」だ! |
選挙のたびに思い出すことがある。 それは高校2年生の時のことだ。 その当時ぼくは、担任との仲がすこぶる悪かった。 担任はクラスで何か事が起きると、すべてぼく絡みだと決めつけていた。 簡単に言えば、担任はぼくを不良だと思っていたわけだ。 おかげで、父兄会の時、ぼくの母は他の誰よりも時間が長くかかったという。 担任はその時、母に面と向かって、 「おたくの息子さんが、クラスで一番素行が悪い」 と言ったそうだ。 当然母は憤慨して家に帰ってきた。 が、憤慨していたのはぼくに対してではなく、担任に対してだった。 「いくらあんたの素行が悪くても、言い方というものがあるやろ!」 と言っていた。 そういうことがあって、ぼくは担任に対して『嫌い』を通り越し、敵愾心まで抱くようになった。 担任もそれに気づいたのだろう。より以上に、ぼくに対する態度が硬化した。
ところが、そういう担任が一度だけぼくに笑顔を向けたことがあった。 参院選前のことだった。 ぼくが廊下を歩いていると、向こうから担任がやって来た。 担任はぼくを見つけると、急に笑顔になって、珍しくぼくに声をかけてきた。 「おい、しんた」 妙に上機嫌である。 「ちょっと話しがあるんやけど、いいか?」 そう言って彼は、ぼくを物理室に連れ込んだ。
「まあ、座れ」 ぼくは一瞬『何かやらかしたかなあ?』と思ったが、思い当たることがない。 「何ですか?」 「いや、他でもないんやけど…」 「?」 「お前んとこ母ちゃん、どこか支持政党あるんかのう?」 「えっ、知りませんけど、何か?」 「実は今度の参院選のことなんやけど…」 「参院選?」 「ああ。お前から社会党(現社民党)に入れるように言ってもらえんかのう?」 「えっ?」 「いや、無理にとは言わんけど」
ぼくはまだ若かった。 こういう時、何と答えていいのかわからない。 ぼくが躊躇しているのを見て、担任は 「あっ、そうか。お前んとこは新日鐵やったのう」 「はあ…」 「じゃあ、だめかぁ」 「えっ?」 「いや、いい。新日鐵は民社党(現いちおう民主党か?)やったか。そうかそうか…」 「・・・」 「あ、悪かったのう。もういい」 そう言うと担任はさっさと物理室を出て行った。
ふざけた男である。 そういうことに生徒を利用しなくてもいいじゃないか。 父兄会の時と同じように、面と向かって「社会党に入れて下さい」と母に頼み込めばいいのだ。 確かに母は新日鐵に勤めてはいたが、会社の支持政党である民社党はけなしていたのだ。
それ以来、ぼくと担任の溝はいっそう深くなった。 重ねて、こういうことをやらせる社会党も日教組も大嫌いになった。 それが現在まで続いている。
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