母が必死に年賀状を書いている。 まあ、ワープロを使っているので、書いていると言うより、打っていると言ったほうがいいだろうが。 昨年、ワープロでは何だからというので、安いパソコンを買い与えたのだが、使い慣れたほうがいいのか、いまだ電源を入れたことがないようだ。 おそらく、プリンターのインクは目詰まりしていることだろう。
ぼくは年賀状を書く習慣がない。 だから年末にも、こうやって毎日日記を更新する時間が持てるわけだが、もし年賀状を書く習慣を持っていたとしたら、今頃日記を書いている暇はなかったにちがいない。 きっと今の母と同じく、必死に年賀状に取り組んでいたはずだ。 元々凝り性な性格なので、ありふれた年賀状を嫌って、より個性的な年賀状作りに励んでいたことだろう。
ぼくが年賀状を書かなくなったのは、20代後半のことだった。 それまでは、会社の人などに年賀状を書いていたのだが、歳をとるとともに仕事が忙しくなっていき、年賀状を書く時間が取れなくなったのだ。 30件が20件になり、20件が10件になり、10件が5件になり、ついには0になってしまった。 まあ、こちらから出すことはしなくなったものの、それでも送って来た人には返事を書いていた。 しかし、店の初売りが1月2日からになってからは、返事も書かなくなった。
また、こういう理由もある。 初売りが1月2日からということは、12月31日まで目一杯働いているぼくたちにとって、正月休みはただの単日の休みに過ぎない。 翌々日に会う人に、わざわざ年賀状を出す必要もないだろう、という冷めた判断が働いたということだ。 こういう感覚を持った人は、ぼく以外にも何人かいた。
ということで、ぼくがまったく年賀状を書かなくなってから、もう十数年が経つ。 こちらが出さないので、送ってくる人も当然少なくなってくる。 最近送ってくる人といえば、生保・損保の保険屋さんと、どこかの店の「初売りは○日から」というDMまがいのものくらいだ。 以前は輪ゴムでまとめて郵便ポストに入っていた年賀状も、最近ではいつもの郵便と同じようにばらけた状態で入っている。
さて、来年はいったい何枚年賀状が届くのだろうか。 ちなみに、今年送って来た年賀状の数は8枚だった。
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