千葉には、優勝マジック1のチームを食う魔物が棲んでいるという。 95年の西武、99年のダイエー、02年の西武、マジック1で千葉に乗り込んでいったが、みなことごとく連敗し、千葉での胴上げは出来なかった。
さて、3連敗してマジック1のまま千葉に乗り込んだホークスも、前半この魔物に手こずった。 3−0のまま迎えた4回の裏、先発杉内が1アウトを取ったあと、この魔物に取り憑かれてしまった。 4連続2塁打、ここで同点。 さらに悪夢は続く。 何とかアウトを一つ増やしたものの、四球、内野安打で満塁となる。 ここでロッテは絶好調福浦。 杉内の甘い球を見逃さず、この回5本目の2塁打を放つ。 3−6と逆転されてしまった。
9月に入ってからの、数々の負け試合の記憶が蘇る。 ピッチャーが佐藤誠に交代した。 最近は勝ち試合の中継ぎとして活躍している佐藤だが、ここ数試合、彼はきちんと押さえているものの、後続のピッチャーがピリッとしない。
さて、その佐藤、4回はいつものように押さえた。 ところが5回に崩れた。 四球とヒットでノーアウト1,3塁のピンチを招いてしまったのだ。 ついに佐藤も魔物に取り憑かれたかに見えた。 何とか次の打者を三振に取ったものの、まだランナーはたまったままだ。 気の重い場面が続く。 その時である。 キャッチャー城島が一塁に牽制した。 これがストライクだった。 あえなく1塁ランナーはタッチアウト。 これで流れが変った。 何か重しが取れたような雰囲気になったのだ。 続くバッターは三振。 これでチェンジである。 このあと、ホークスの怒濤の攻撃が始まり1イニングで7得点して逆転に成功した。 そして次の7回途中、神戸で西武が負けたという情報が入った。 ここで優勝が決まった。 その情報で優勝のプレッシャーから解放されたホークスは、さらに追加点を入れ、そのまま勝ちを収めた。
今日の功労者は、何と言っても城島だろう。 何せ、彼が魔物を追い払ったのだから。 ゴリラが魔物に勝ったということだ。
以上が優勝を決めた日の、大まかなホークスの試合内容である。 さて、ぼくはその時何をしていたか。 家で氷結を飲みながら、テレビを見ていたのだ。 もちろん、秋山幸二解説のロッテVSダイエー緊急生中継を、である。 途中、友人から何度も電話やメールが入った。 4回にロッテから6点を取られた時は、「こら、しんた。ダイエーはどうなっとるんか!? 毎回毎回同じような試合をしやがって」というお叱りの電話だった。 別にぼくが悪いわけではないのだが、なぜか「すいません」と謝ってしまった。 また6回に逆転した時は、「おい、勝ったら飲みに行くぞ」という電話が入った。 が、ぼくは「もう飲みようけ、これ以上はいらん」と言って断った。 「じゃあ、おれがお前の家に行く」 「そうですか、ではお待ちしています」 そう言って電話を切った。 その後、優勝特番をハシゴしたあとに、この日記を書いているのだが、もう時間は2時半を過ぎている。 しかし、彼はまだ来ない。 いったい何をしているんだろうか?
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