今日、岡垣町にある『峠ラーメン亭』のチャンポンを食べに行った。 最後に食べたのが、昨年の春だったから、1年ぶりである。 久しぶりに食べた、峠のチャンポンは前にも増しておいしくなっていた。 こういうことも珍しい。
十数年前だったが、夜中に博多まで長浜ラーメンを食べに行っていたことがある。 当時えらくおいしい店があり、腹が減ると無性にそこのラーメンが食べたくなったのだ。 しかし、夜中で道はすいているとはいえ、片道1時間近くかかってしまう。 だんだん疲れてしまい、そのうち行かなくなった。 数年後、福岡ドームに行った時その店に寄ったことがある。 あのおいしい長浜ラーメンの記憶がよみがえる。 ところが、口にしてみると、あの頃と味が違う。 スープに微妙なコクがなく、ただの薄味の豚骨ラーメンになっていた。 この店はぼくが足繁く通っていた後に、テレビなどで取り上げられだした。 おそらくその影響で客足が増えたのだろう。 その結果、数をさばくことに神経を使うようになり、味作りに気が回らなくなったのだと思う。 こういうことはよくあることだ。
ところが、冒頭の『峠ラーメン亭』のチャンポンは違う。 1年前に食べた時以上に味がよくなっているのだ。 ここは先の長浜ラーメンのようにテレビで紹介されたことはない。 その上、店の名前にラーメンと付いているので、どうしてもチャンポンのほうに関心は行かないだろう。 しかし、一度このチャンポンを食べた人なら、そのおいしさを知っている。 おいしい店を知っているとなれば、誰かに教えたくなるのが人情。 ぼくもけっこう多くの人に、ここのチャンポンのことを触れ回った。 食べに行った人からは必ずと言っていいほど、「おいしかった」との答えが返ってくる。 そういった口コミで着々と客足は増えていっているのだ。 それなのに「客足が増える、すなわち味が落ちる」という公式がこの店には当てはまらない。 こういう店も珍しい。
何年か前に、ここのチャンポンを食べた翌日、長崎の平戸までドライブしたことがある。 その平戸で昼食をとろうと、一軒の食堂に入った。 メニューを見ながら何を食べようかと迷っていると、そこの店員が「長崎に来られたんですから、もちろんチャンポンでしょ?」と言った。 「え?」 「旅行で来られた方は、ここで必ずチャンポンを食べて行かれますから」 「そうですか」 それほど言うのなら、よほど味に自信があるのだろう。 「じゃあ、チャンポンにして下さい」
しばらくして、チャンポンが運ばれてきた。 スープはかなりドス黒い。 レンゲにスープを入れ口に運んだ。 「・・・」 チャンポンのチェーン店の味のほうがずっとおいしい。 まあ、チャンポン食べたことのない人なら「チャンポンとは、こんな味なのか」ですませられるかもしれないが、チャンポン歴40年、しかも前日特Aのチャンポンを食べたぼくにはとても食べられたものではなかった。 当然残すことになり、空腹をパンで満たすことにした。
よく旅行などに行くと、「本場」だの「元祖」だのいう看板がやたら目に付く。 しかし、そういうところに限って、あまりおいしいものを食べさせてもらえないものである。 福島の喜多方にラーメンを食べに行った時も、ぼくは地元の人に「どこが一番おいしいか」と聞いて店を選んだものだった。 その時、地元の人が教えてくれたのは、『喜多方ラーメン』の看板を上げている店ではなく、そのへんによくある赤いのれんの中華料理店だった。 もちろん、味は絶品だった。
さて、今日の日記も日をまたいでしまった。 すでに、正午を過ぎている。 そろそろ腹が減ってきた。 今日も峠ラーメン亭に行くことにしようかなあ。
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