1964年、小学校入学。 入学してしばらくしてからのこと。 同じ町内に、Rという同じ学年の女の子が住んでいた。 ぼくは保育園、彼女は幼稚園に通っていた関係もあって、あまり話をしたことはなかった。 ある日の学校帰り、Rがぼくの20メートルくらい先を歩いていた。 その距離を保ったまま、家の近くまで来た時、何を思ったか、突然Rは有刺鉄線をくぐって、ある工場の中に入っていった。 ところが、有刺鉄線をくぐる時に、ランドセルに傷を入れてしまったらしい。 その晩、Rの親がRを連れて、うちに怒鳴り込んできた。 Rは親に「しんた君が追いかけて来たので、逃げている時にランドセルに傷が入った」と報告したようだ。 叔母がぼくを呼んだ。 そして「Rちゃんが、こうやって言いよるんやけど、ホントにあんた追いかけたんね?」と聞いた。 ぼくは、「いいや、ぼくが後ろのほうを歩きよったら、Rちゃんが突然工場の中に入っていった」と見たとおりのことを言った。 Rの親はそれを聞いて、Rに「R、しんた君はああ言いよるけど、どうなんね?」と言った すると、Rは泣き出した。 Rの嘘を悟ったRの母親は、真っ赤な顔をして、Rを引っ張って帰って行った。
その年の11月、区の粘土大会の学校代表に選ばれる。 代表に決まってから、放課後は毎日粘土細工の練習だった。 まあ、練習とは言っても、粘土をいじくるだけだったが。 そのコンクールの2日前のことだった。 学校から帰ってから、近くの駄菓子屋に風船を買いに行った。 その駄菓子屋から家までは、歩いても2分とかからない所にあったが、その日は寒かったので、走って帰った。 家の前まで来た時、ぼくは石につまずいてこけてしまった。 その時、ちょうど眉毛のあたりを溝のふちにぶっつけてしまい、2針を縫う怪我をしてしまった。 そのため、粘土大会には、包帯を巻いての参加になった。 まだ熱が引かず、ボーッとした状態での出場だった。 おまけに、タイトルは『怪獣』。 その頃はまだウルトラQなどをやってなかったので、怪獣といってもイメージがわかない。 仕方なくゴジラのような怪獣を作ったのだが、後ろで見ていた先生が、「角をつけろ」としつこく言う。 意識がボーッとしているので、言うがままに角をつけて、「はい、ちゃんと角をつけました」と大きな声で言って会場を出た。 結果は『優良』だった。 が、これは参加賞みたいなもので、賞品はえんぴつ2本だった。
1966年、本領発揮。 当時ぼくの教室は2階にあった。 休み時間に、友人と二人で、教室の窓からつばを吐いていた。 たまたま下で遊んでいた女子の頭に、そのつばがかかった。 その時の女子の反応がおもしろかったので、さらに他の人間に狙いをつけてつばを吐いていた。 かなりの人が被害に遭ってしまった。 そのクラスの担任が授業中に怒鳴り込んできた。 そのため授業は中断してしまった。 その後、職員室に呼ばれ、学年主任の先生からさんざん叱られる。
2学期、いっしょにつばを吐いた友人と席が隣同士になった。 ぼくたちは仲がよすぎた。 授業中でもおしゃべりを始めると止まらなくなり、先生から何度も注意を受けた。 女の先生だったが、柔道をやっていた。 そのため、注意されるだけではなく、何度も投げられた。 席替えして1週間後、その友人の親から「しんた君といっしょの席だと、勉強しなくなる」とクレームがついた。 そのため、ぼく一人が席替えする羽目になった。 ぼくの新しい席は、教壇の真ん前だった。
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