夜のことだった。 突然、耳の後ろから声が聞こえた。 「おい、今日は何もしなくていいぞ」 「え?!」と思い、後ろを振り向いてみたが、そこには誰もいなかった。 「もしかしたら、天の声かもしれない」、とぼくは思った。 その天の声に勇気を得たぼくは、日記をさぼることにした。
さて、さぼろうとはしたものの、他にすることがない。 最近はまっている浦沢直樹のマンガ『20世紀少年』も、早々と10巻読んでしまった。 そこで寝ればいいものを、明日は休みだからと、つい夜更かししてしまった。 結局、いつもの習い性で、パソコンの前に座ってしまい、「せっかくだから日記でも書こう」となったわけだ。
ところが、それからがいけなかった。 いくつかのソフトをインストールしながら日記を書いていたのだが、突然パソコンが固まってしまった。 全然動かない。 仕方なく強制終了したものの、再起動さえしなくなったのだ。 何度も何度もパソコンをいじくり、どうにか起動できるようになったのは、午前6時だった。 今日はここまでにしておこうと思い、朝起きてから日記を書くことにした。 と、重要なことを思い出した。 金曜日は、朝9時までに会社に行かなければならなかったのだ。 ということは、遅くとも8時には起きなければならない。 「2時間かぁ」 でも少しでも寝たほうがいいと、布団の中に潜り込んだ。
最悪の状態で、8時を迎えた。 とにかく眠たい。 何とか布団から這い出し、顔を洗った。 8時半に家を出た。 何とか9時に会社に着いた。 10時半に仕事が終わり、すぐ家に帰った。
で、家に帰って熟睡、とはならなかった。 相変わらずパソコンの調子が悪い。 増設しているほうのハードディスクが、カチカチ言っている。 おかしいと思い、アクセスしてみると、そこにあったデータが全部消えてしまっている。 そこには、書きかけの7日の日記が入っていたのだ。 再びパソコンとの格闘が始まった。 しかし、午後6時、ついにハードディスクは回復しなかった。 結局、7日の日記を8日の午後7時に書いているわけだ。 仕事には遅れなかったが、日記の方は大幅に遅刻してしまったということになる。
さて、今書いている日記と、本来の日記のテーマは全然違う。 本来の日記には何が書いてあったのだろうか。 今、あまりに眠たいので、全然思い出せない。 さて何だったか? しかし、ポンコツのパソコンのおかげで、眠たいながらも何とか日記を書くことができた。 喜ばしいことである。 そういえば、今日の運勢は「転んでもただ起きない」、となっていた。 これも天の声なんだろうか。
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