ぼくは、過去五度富士に行ったことがある。 そのうち四度は、富士山五合目まで車で行った。 しかし残念ながら、山頂までは行ったことはない。
一度目は、高校1年の夏休みだった。 横須賀の叔父の所に遊びに行ったのだが、その時叔父の会社の社員旅行に参加させてもらった。 行った場所が富士だった。 白糸の滝、富士五湖、五合目に行った。
二度目は、高校2年の修学旅行の時。 富士急ハイランドに泊まり、前後の日に富士の各地を回った。 その時も、五合目に行った。
三度目は、昨日書いた内容である。 河口湖と山中湖に行ったが、五合目には行かなかった。
さて、四度目と五度目だが、三度目に行った2週間後に行った。 そう、同じ日に二度行ったのである。 どちらも五合目に行った。
この日は、仲間7,8人(男子のメンバーは覚えているんだけど、女子のほうがどうも思い出せないでいる)でワゴン車を借りて行った。 朝、新宿駅西口の地下で待ち合わせ、そこからワゴン車に乗った。 前日、同行メンバーにぼくは、「富士は泳げるんか?」などと、間抜けなことを聞いていた。 「泳げないこともないけど・・・」という言葉に、「じゃあ、泳ぐ準備して行く」と言って、当日はTシャツと海パン(トランクスタイプ)といういでたちで行った。 日差しが強く、かなり暑かったので、「正解やった」と一人喜んでいた。
さてルートだが、行きは中央、帰りは東名を通ることにした。 さすがに、前回の初心者友人と違い、その日の運転手「テツロー」は慣れている。 さらに、相模原の人間だったので、地理にも詳しい。 ぼくたちは安心して、彼に運転を任せていた。
中央高速に入ってしばらくしてからのこと、ぼくたちの走っていた車線が工事のために塞がれていた。 しかたなく、左車線に入ろうとした。 左車線の少し前にはトラックがいた。 「どうせなら、あのトラックを抜かしてから入ろう」 ということになり、テツローはスピードを上げた。 ぼくたちは、「行け、行け〜!」とテツローをあおった。 テツローがトラックを抜いた時には、もう工事現場の手前まで来ていた。 テツローはそのスピードを保ったまま、矢印に沿って左車線に入った。
左車線に入ると、真っ先に目に飛び込んできたものがあった。 赤い棒だった。 赤い棒は、ゆっくりとこちらを手招きしている。 「ありゃー」 テツローが叫んだ。 その人は警察だった。 取締りをやっていたのだ。 30キロオーバーだった。 テツローは、「あ〜あ、免停だ」とショックを受けていた。 新宿を出発してから、まだ1時間も経っていなかった。 それは、その日起こる波乱の幕開けでもあった。
「波乱の幕開け」とはいっても、そう大した出来事があったのではなかった。 ただ、間抜けなやつが笑えるような騒動を起こしたというに過ぎない。 このドライブ自体は、総体的に見ると楽しいものだった。 最終的に一番悲劇だったのは、このぼくだったのかもしれない。 そのことは、明日話すことにする。
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