うちのパートさんが、「最近流行っている曲を編集しました」、と一枚のCDを持ってきた。 聴かせてもらったら、そこに島谷ひとみの『亜麻色の髪の乙女』が入っていた。 最近CMでよく流れているので、リバイバルしていることは知っていたが、通しで聴くのは初めてだった。 何気なく口すさんでいると、そのパートさんが、「えっ、この歌古い歌なんですか?」と聞いてきた。 ぼくは最近の歌にはまったく興味がないので、ぼくが知っている歌はすべて古い歌と思われているようだ。 おっしゃるとおり、古い歌である。 この歌は、ぼくが小学4年から5年にかけて流行った歌で、当時はヴィレッジ・シンガーズが歌っていた。
4年生の春休みに、子供会で福岡市の香椎花園に行ったのだが、その時にこの歌がかかっていた。 この歌を聴くと、真っ先にその時のことを思い出す。 が、別に大したことがあったわけではない。 ただ、「春にぴったりの歌だなあ」と思っただけである。
ぼくは、この頃からこの歌が好きだった。 今でも、しろげしんたが選ぶ”GSベスト3”の中に入る歌である。 他に、ゴールデン・カップスの『愛する君に』とズー・ニー・ブーの『白いサンゴ礁』がその中に入っている。
20年ほど前に、友人の結婚披露宴に呼ばれたのだが、会場で突然「歌ってくれ」と言ってきた。 その時、この『亜麻色の髪の乙女』を選曲した。 MCが「ずいぶん懐かしい歌ですね」と言っていた。 今、そういう場でこの歌を歌うと、おそらく「歳のわりに、新しい歌をご存知なんですね」と言われるだろう。
そういえば以前、スナックで井上陽水の『東へ西へ』を歌った時のこと、カウンターに座っていた若い客が、「へえ、最近の歌も歌えるんですね」と言っていた。 ちょうど、本木雅弘の『東へ西へ』が流行っていた頃である。 ぼくは「この歌はねえ・・・」、と『東へ西へ』の歴史を教えてあげた。 「あ、そうなんですか。陽水の歌だったんですか」 無理もない。 ユーミンの『卒業写真』を、音楽の教科書で知った世代なんだから。
ちょっと前にテレビで言っていたが、最近リバイバルブームだそうだ。 この『亜麻色の髪の乙女』もそうだし、原由子や中森明菜もそういうアルバムを出している。 また、ちょっと前には、井上陽水が『花の首飾り』や『コーヒールンバ』などを歌っている。 しかし、古い歌評論家のぼくとしては、ちょっと物足りない。 橋幸夫の『雨の中の二人』(歌詞が実に意味深)、倍賞千恵子の『さよならはダンスの後に』、園まりの『逢いたくて 逢いたくて』、タイガースの『落葉の物語』『銀河のロマンス』、由紀さおりの『初恋の丘』などをリバイバルして欲しいと思っている。 やはり時代を越えても、いい歌はいい。
しかし、これだけはリバイバルしないでほしい、という歌もある。 橋幸夫の『恋のインターチェンジ』『あの娘と僕(スイム・スイム・スイム)』『チェッチェッチェッ(涙にさよならを)』(タイトルからしてダサい)、舟木一夫『ただいま授業中』(「AB学校、えー学校♪」というフレーズが嫌いだ)、トニー谷の『チャンバラ・マンボ』、『ガード下の靴磨き』(セリフが臭い)『西銀座駅前』(この歌をカラオケで歌っていた人が気持ち悪かった)、などなど。 それにしても、ぼくはいったい何歳なんだろう?
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