今日は朝から気分が悪かった。 昨日はコーヒーを飲みすぎた。 ブラック、カフェオレ、缶コーヒーなど、確実に1リットル以上は飲んでいる。 おそらく、そのせいで胃が荒れたんだろう。
ぼくは基本的にコーヒーが好きではない。 これは、小学生の頃の体験からきたものである。 確か小学4年生の秋頃だったと思うが、テレビで『ネスカフェ』のCMを見て、無性にそれを飲みたくなったことがあった。 そこで、家にあったネスカフェを取り出し、自分で入れてみることにした。 しかし、それまでぼくは、コーヒーといえばコーヒー牛乳と、学校の給食に出るコーヒー入り脱脂粉乳しか飲んだことがなかった。 したがって、コーヒーの入れ方もよくわからない。 「このくらいだろう」と思って、コーヒーカップの半分位ネスカフェ粉を入れてしまった。 えらく苦かったが、「コーヒーとはこんなものだろう」と思って、全部飲んでしまった。 じわじわと気分が悪くなり、吐いてしまった。
その年の冬、親戚の家に行った時のこと。 おばちゃんから、テトラパックのコーヒー牛乳をもらった。 さっそく飲んだのだが、ちょっと苦めだった。 飲んだ後、またじわじわと気分が悪くなり、吐いてしまった。 実は、これは練炭にやられたのだった。 窓を閉め切っていたため、軽い一酸化炭素中毒になってしまったのだ。 しかし、その時はそういうことを知る由もなく、ただコーヒーにやられたと思っていた。 それから7,8年間、ぼくはコーヒー関係の飲み物を一切口にしなかった。
なんとか、その『コーヒー=気分が悪くなる』という呪縛から逃れたのは、本格的にタバコを吸い始めた頃だった。 予備校に通っていた頃だったか、昼食を食べるために、ぼくはよく学校の近くの喫茶店に通っていた。 その店には、ぼくが高校の頃から飲み始めた紅茶が、メニューになかった。 何度か「ここは、紅茶をメニューに入れんと?」と訊いたが、いつも答は「入れんよ」だった。 しかし、食事の後に、水を飲みながらタバコを吸うのも味気がない。 そこでぼくは、タブーに挑戦することにした。 なるべく胃に負担をかけないようにミルクをたっぷり入れ、飲みやすいように砂糖を少し多めに入れた。 恐る恐るこの液体を口の中に入れてみると、これがおいしい。 さらにタバコを吸ってみると、これがまた合う。 以来、コーヒーとタバコは、切っても切れない仲になった。 後年、ぼくは何度か禁煙をしたが、その間喫茶店でコーヒーを飲むたびに、口寂しさを感じたものである。
この『コーヒー+タバコ』には、意外な効能があった。 お通じに良いということである。 ここで初めて、高校の時、保健の先生が「『タバコは百害あって一利なし』とよく言うが、一利はある。それはお通じに良いということだ」と言った意味がわかった。 若い頃、ぼくは便秘症だった。 それが、この『コーヒー+タバコ』で改善されていったのだ。 最初の頃は、喫茶店に行くたびに、便意を催して困ったものだが、それも徐々に治っていった。
しかし、それでコーヒーが好きになったのかというと、そうでもない。 コーヒーは2杯が限度である。 それ以上飲むと、今日のように胃が荒れてくる。 そういうこともあり、ぼくは、ファミレスに行った時は、コーヒーを注文しないようにしている。 何杯飲んでもただだから、調子に乗ってお代わりをしてしまうからだ。 だから、ファミレスでは他の飲み物を注文している。
ところで、家でコーヒーを飲む時に、ミルクや砂糖のほかに入れているものがある。 それは塩である。 ミルクや砂糖を入れた後に、塩を指で軽くつまんで、パラパラと振りかけるのだ。 これで味ががらりと変わる。 何と形容していいのかわからないが、とにかくまろやかな甘さになるのだ。 このことを人に言うと、いつも「お前、馬鹿やないんか」と言われるが、おいしいものはおいしい。 そういう人には、このおいしさは一生わからないだろう。
これをやる時に、気をつけなければならないことがある。 それは、砂糖と塩を間違えて入れないこと、である。 ぼくは過去3度、この間違いを犯した。 さすがに飲めたものではなかった。
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