今日で長崎屋黒崎店が閉店になった。 ローカルニュースで今日の朝の開店風景を映していたが、知り合いが映っていたのを見た時、一つの時代が終わったような気がして、何か寂しかった。 長崎屋の跡地がその後どうなるのかは、誰も知らない。
さて、ここ数日変な客ばかりが来て困っている。 土曜日の午前中のことだ。 お客さん(中年以降の女性)に「すいません」と呼ばれ、行ってみると、白い石油ストーブを指差し「このストーブ下さい」と言った。 ぼくが「お持ち帰りですか?」と訊くと、「はい、車で来てますから」と言うので、ぼくは車までそのストーブを運んであげた。 それから2,30分のち、そのお客さんから電話がかかった。 少しムッとした口調で「さっき買ったストーブ、違うんですけど」と言う。 しんた「え?お客さんが指差したストーブを持って行ったんですけどねえ」 客「色が違うんです。あなた、その横のストーブをくれたでしょう?」 し「色が違う?確かにお客さんはそのストーブを指差しましたよ。白でした。その横のストーブは木目色ですよ」 客「私はそれが欲しかったのよ。持って帰ったのはカートリッジのキャップも違うし。私が選んだのは手の汚れないキャップがついてたのよ」 し「ちょっと待って下さい。木目の分は手が汚れるキャップのほうですよ。お客さんに渡した分は、手が汚れないキャップがついてたでしょ?」 客「このキャップじゃ手が汚れるほうよ!とにかく持って行きますから、換えて下さい」 そう言って、お客は電話を切った。
しばらくして、そのお客はストーブを抱えてやってきた。 客「これよ、これ。見てちょうだい!」 ぼくは箱を開け、ストーブを取り出し、カートリッジのキャップを開いて見せた。 し「これですよ。お客さんが選んだのは」 客「そんなことはないです!」 し「でも、このキャップは手が汚れませんよ」 客「でも色が違うじゃない」 し「この機種は最初から白しか置いてないんですけど。電話で言われてた木目はこの分ですよ」 と、ぼくは木目のほうのカートリッジを取り出し、キャップを見せた。 し「これだと手が汚れますよ」 客「おかしいわねえ」 し「別に換えてもかまいませんよ。このキャップでいいなら」 客「それは困る。私が選んだの、本当にそれでしたかねえ?」 し「はい、間違いありません」 「じゃあ、最初のでいいですね」と、ぼくは最初のストーブを持って帰らせた。 最後にお客は自分の非を認めたのか、「すいません」と言った。
その日の夕方、ぼくが食事を取っていると、店長が「しんちゃーん、電話が入っとるよ」と言ってきた。 電話に出てみると、月曜日にスト−ブのことで電話でクレームをつけてきたお客だった。
月曜日は「火のつきが悪い」という電話だった。 話を聞くと、どうも灯油が悪いようだったので、そのストーブを配達の人に頼んで店に持って帰ってもらい、芯の交換をして配達した。 芯の交換をしている途中に、そのお客から電話が入った。 ストーブを持って帰ってから、まだ20分くらいしか経過してなかった。 電話の向こうで「まだかー!いつまで待たせるんかー!」などと言って怒鳴っている。 多少酔っ払っていたようである。 ぼくが「まだかと言われましても、今持ってきたばかりじゃないですか」と 言うと、「お前はおれを殺す気か」と言う。 ぼくはムッとして、「早くお客さんのところに持って行きたいので、電話切りますよ」と言って電話を切った。 芯を換え、点火プラグの調整をし、配達の人に持って行ってもらった。 その時はそれで終わった。
つづく
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