こちらのサティは、今頃8割引セールをやっている。 おかげで今日、うちの店は暇だった。 店長いわく、「潰れた会社が、市場を荒らすようなことをするな!!」 たしかにその通りである。 潰れた会社は、細々とやっていってもらいたいものである。 そうしないと、こちらの身が危なくなってくる。
そういえば、ぼくが前に勤めていた会社の同僚の中に、サティに行った人間が何人かいる。 聞くところによると、そのほとんどが人員整理にあったそうである。 その中の何人かは、まだ再就職先が決まってないということだ。 現在北九州では、企業の求人募集がかなり減っている。 販売業などは、ほとんどないと言っていいだろう。 そのため、職種を限定したり、選り好みをしたりすると、仕事は見つからない。 どういうわけか、彼らは以前勤めていた会社 ―ぼくもいた会社― に、職を求めているというのだ。 それなら、何で辞めたんだ!? 一度辞めた会社に復帰した場合、よほどの功績を立てない限り、評価はもらえない。 後足で砂をかけるような真似をした人間に、当然企業はいい顔をするはずがない。 何かあれば、またリストラの対象にされるのがオチだ。
それを考えると、彼らとほぼ同時期に前の会社を辞めたぼくは、いい企業を選択したと思う。 と言っても、今のところは、であるが。 しかし、ぼくも今年からリストラ対象の歳になるのだ。 決して楽観してはいられない。 何か手を打っておかなければ。 人に使われるのはもう真っ平だから、何か個人でやって行きたいと思ってはいるのだが、悲しいかな、ぼくにはその下地がない。 新たに何かを始める根性もない。 かといって、またサラリーマンというのも芸がないし。 このジレンマに、たまに悩んでいる、今日この頃である。
しかし、実際そうなったらどうしようか? とりあえず、何かを始めないと、当面の生活に困る。 個人でやるとしたら、いわゆるフリーターにはなりたくない。 現段階で確実にできることと言えば、朝は宛名書き、昼はコイル巻き、夜はストリートミュージシャン、夜中はチラシ配り、という道しかない。 いったい、これでいくらになるんだろうか? おそらく、今よりはずっと収入が減るだろう。 もう少し実入りを増やすとしたら、あれしかない。 ホームページにバナー広告を入れて、訪れた人にクリックしてもらう。 しかし、「頑張る40代!」は神聖な領域であるから、ここでそれをやることは出来ない。 別に「裏しんた 頑張れ40代!」という、スケベな出会い系サイトを作ってみるか。 そしたら、それ系の人がやってきてクリックしてくれるだろう。 ぼくは面倒なのが嫌いだから、きっとやらないだろうが。
いっそ、姓名判断でもやるか。 神棚作って、白装束に身を固め、髪を伸ばし、ひげをたくわえ、線香を焚き、いかにもそれらしく振舞う。 肩書きを「白毛流日庵派姓名術 四十代宗家」と、いかにもそれらしくしておく。 来る人来る人に、「あなたは、今までは苦労の連続だったけど、これからは幸運が舞い込んでくるでしょう」と占ってやれば、誰も悪い気がしないから、「あそこは当たる!」と評判になるだろう。 年寄りを騙しさえしなければ、警察に捕まることもない。 「しろげ先生」と呼ばれるし、こちらも悪い気はしない。 これなら今以上の収入を得られること請け合いだ。 もしかしたら、一財産稼げるかもしれん。 そうなると、税金対策が必要になる。 専属の税理士を雇うか。
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