ぼくはむかしから、みんなが当然知っているようなことを知らない。 つまり一般常識音痴である。 例えば色のこと。 「カーキ色」という色があるが、ぼくはこの色がどんな色であるかというのを知ったのは、つい最近のことである。 それまでは「柿色」のことと思っていた。 「ベージュ」、20歳の頃この色のシャツが欲しくて、Gパンセンターに買いに行ったことがある。 店員が「どういう色がお好みですか?」と尋ねたが、「ベージュ」という言葉を知らなかったので、しかたなく「錆びた白」と答えた。 「錆びた白? ああ、この色ですか?」とベージュのシャツを持ってきた。 「お、通用するやん」と思ったぼくは、「ベージュ」という言葉を知るまで、この色をずっと「錆びた色」と言っていた。 「コバルト色」、沢田研二の歌でしか知らない。 はじめてこの言葉を聞いた時、「鉄腕アトムの兄さんの色のことか?」と思い、どんな色か必死に考えていた。 「セピア色」、昨日の日記で使うまで、こういう色の名があることすら知らなかった。 たまたま、あるサイトを見ていたら、この言葉に出会った。 意味を調べてみてはじめて知った次第である。 で、使ってみた。
色だけではない。 横文字がまったくわからん。 本屋で本を探す時、たとえ好きなジャンル(このくらいはわかる)の本であっても、文中に外来語が多いと買わないことにしている。 「日本語で言えることを、なぜ外国語で言おうとするのか?この見栄っ張りが!」と著者を馬鹿にするが、要は自分が知らないのである。 前の会社に勤めていた時、本社からやたら外来語を使いたがる女性が来たことがある。 リニューアル(これもわかる)の打ち合わせのために来店したのだが、ぼくは彼女が何を言っているのかわからなかった。 質疑応答の際、彼女はぼくに「何か質問はありませんか?」と聞いてきた。 ぼくは「何を言うとるのかわからんので、日本語で言うてもらえんですか?」と言った。 彼女は「え!?」とぼくをさげずむような顔をした。 『こんな言葉ぐらい勉強しとけよ』とでも思っていたのだろう。 それ以来、さらに外来語に劣等感を抱くようになった。
その他にも、政治に疎い。法律に疎い。ファッションに疎い。ブランドに疎い。芸能人に疎い。歌に疎い。映画に疎い。ドラマに疎い。小説に疎い。車(種)に疎い。ギャンブルに疎い。ゲームに疎い。流行に疎い。・・・・。自分の興味あるもの以外は、すべて疎い。
「しろげしんたさん、じゃあ、あなたは何に興味あるんですか?」 「はい、日本史と、宗教と、中国と、韓国と、朝日新聞と、平和仮面と、人間観察と、ありの観察と、友だちの癖と、知り合いの真似と、“頑張る40代!”です」
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