続いて、商品勉強に入った。 機能的な説明はきわめて短かったが、その後にあった実演が長かった。 班ごとに一人一人やらなければならない。 全員エプロンをつけて行った。 作るものは、ポップコーン・べっこう飴・焼き芋・焼き魚などだった。 一班5人程度だったので、全員やらなければならなかった。 一品目を決められた時間で作りながら説明していくのだ。 普段は口の達者な者も、実演をしながら、というのは難しい。 「このボタンを押して、○分待つと、こうなります」と説明するが、こうなってくれない。 そのうち時間オーバーしてしまう。 そして、天突きが待っていた。 とくにぼくたちの班は、何回も天突きをやらされた。
さて、実演が終わると、計画立案に入った。 まず、各班のスローガンを決めることから始まる。 そして具体的な、売上計画や活動計画を立案する、といったものだった。 スケジュールでは、計画立案は午後10時から午前1時までということになっていた。 それまで余った時間(1時間半ほど)を、大声を出すための時間に充てていた。 左足を前に出し右手を上げ(エイエイオーのポーズ)、「やれば出来る!やらねばならぬ!電子レンジキャンペーン!」と大声で怒鳴る。 これを何度もやらされた。 最初は全員、それから一班ごと。 全員の時は、自分の声は隠れてしまうから、誰も大きな声を出さない。 それを見越して、隊長は「もう一度!」「やり直し!」で、なかなか「よし!」と言ってくれない。 気に入らない場合は、その場で天突きをやらされる。 もうさんざん天突きで足腰を痛めつけられているので、もう誰もやりたいとは思わない。 しかたなく、皆本気になってくる。 だんだんエクスタシー状態に陥ってしまう。 そしてある程度時間がたってから「よし!」となった。
今度は班ごとにやらされる。 もう全員気持ちがイってしまっているので、最初から手抜きをしない。 それでも隊長は「よし!」を言わない。 どの班も最低5回はやらされる。 うちの班は、声だしリーダーをぼくがやった。 リーダーのあとに続いて、他の人が怒鳴る。 最初は照れもあったが、もうこの時点ではすでに気持ちがイってしまっている。 元々地声は大きなほうなので、誰にも負けないつもりでいた。 が、最初からつまずいた。 先ほど、全員でやった時にのどを痛めてしまったのだ。 声が裏返ってしまった。 すかさず隊長が「腹から声を出しましょう」 腹から出しているつもりなのだが、声がついてこない。 3度目でやっと声が出たが、「もう一回」だった。 そして6度目にやっと「よし!」をもらった。
さて、各班部屋に戻り、計画立案が始まった。 わが班のスローガンは、「命をかけたこの戦!売って売って売りまくれ!」だった。
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