いつものように外でタバコを吸っていると、白い小さなものがゆらゆら動いていた。 「何だろう?」と覗いて見ると、一匹のアリが発泡スチロールを運んでいるのだ。 それも自分の体の数十倍もあるものを。 それにしても、何でよりによって発泡スチロールなんかを運んでいるのだろう。 食べ物でもないし、そんなにいい匂いがするものでもないのに。 おそらく、あんなものを巣に運んだら、仲間からひんしゅくをかうだろう。 「お前またー、何を持って来たんか!? 食い物でもなさそうやし。どうするんかこんな大きな物。こんなの巣の中に入らんやろうが! また女王に怒られるぞ。知らんけの」とか言われるんだろう。 アリがティッシュを好きなのは知っていたが、発泡スチロールが好きだったとは知らなかった。
しかしアリはよく働くなあ。 ほとんど一日中働いている。 「いつ寝るんだろう?」と余計ながら思ってしまう。 「ここに餌があるぞー」と誰かが合図を出すと、どこからともなくゾロゾロと集まってくる。 それも、ダラダラ歩くんじゃなく、足早に餌に向かっていく。 そしてせっせと巣に持ち帰る。 実に働き者であるが、ある学者の話によると、アリの中にも一生懸命働くアリと、そこそこに流すアリと、まったく働かないアリがいるそうである。 まったく働かないアリ ―みんなが餌にたかっている時、周りでウロウロしている奴らがそうか? でも、奴らはボーっとはしてない。一応働く姿勢は見せている。 要領だけは心得ているようだ。 たまには、餌を持って帰ることもあるのだろうが、実戦で鍛えてないから勘が鈍り、ろくでもないのを持って帰ってしまうのだろう。 最初に書いたアリもその一派のアリなのだろう。 まあ、アリの巣コロリを持って帰るアリよりはいいかもしれない。
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