みゆきの日記
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2003年05月22日(木) 過去の話

世の中の結婚している女性は、過去の恋の話を旦那さまにしたりするんだろうか。
あるいは、旦那さまの過去の恋愛について聞いたりしているんだろうか。

私は、結婚前につきあっていた人とそういう話をすることはあったけど、
トモユキとは一切しない。
彼の過去の恋愛について聞いたことも一度もない。
トモユキがそういうのを極端に嫌がるからだ。

絶対に聞きたくない。

そんな風に言う。

トモユキにデートに誘われだした頃、実は私には他につきあっている人がいて、
結婚を迫られて悩んでいた。
彼のことは好きだったけど、遠距離恋愛だったので
結婚するなら私が仕事を辞めて東京を離れなくてはならなかったのだ。
その頃、私は転職したばかりで新しい職場がとても気に入っていて、
とても辞める気にならなかった。

今考えてみれば、彼のことを好きだと思っていたのが錯覚だったのかなぁ、と思う。
本当に好きだったら仕事なんて放り出して彼のところに行っちゃっただろうから。

トモユキと会い始めた頃、私は当時の彼にもらった指輪をずっとつけていた。
ティファニーの、小粒なダイヤをちりばめた綺麗な指輪だったし、
私は左手の薬指につけていたから、それが特別なものだということはトモユキは知っていたはずだ。
でも、トモユキはなにも言わなかった。

何度めかのデートの時に、お台場で突然抱き寄せられて、

「僕、みゆきちゃんのこと好きになっちゃったんですけど、
 どうしたらいいですか?」

ってトモユキが言った時も、私はまだその指輪をつけていた。
その日、トモユキは私にキスをして、
私はその夜、指輪をはずした。

それから、私はそのときつきあっていた彼に別れ話をして、
トモユキとつきあい始めたのだけれど、
その彼のことを、トモユキは一言も言い出さなかった。

つきあってる人、いたんだよね、とか、
本当に僕でいいの、とかそういうこと、なんにも言わなかった。

私の誕生日に、トモユキはブルガリの指輪をプレゼントしてくれた。

「あの指輪、もう捨てた?」

「知ってたんだ、やっぱり。」

「捨てた?」

「うん。捨てたよ。」

「ふーん。ならいいや。」

「ねえねえ、どうして知ってたのに何も言わなかったの?」

「聞きたくないもん。みゆちゃんがつきあってた人のことなんか。
 でも絶対みゆちゃんは俺のこと好きになるって自信あったから。」

トモユキは、可愛い。
でもすごく男っぽいところもあって、そこに私は惹かれたんだと思う。
そんな会話があったのが8月のことで、11月の初めに私たちは入籍した。

(つづく)


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