行人徒然

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見栄を落とそう
2002年01月18日(金)

 毎日毎日朝顔を洗って化粧をする。会社に着いたら化粧直し。お昼を食べたら化粧直し。15時ごろに眠気醒ましの意味もあって化粧直し。帰る前に化粧直し。
 最低見積もっても、5回は鏡に向かい、白粉やら口紅やらを塗りたくる。この上誰かと食べに出かけたり、買い物してトイレにでも入ればそのたびに化粧直しだ。
 そして、そうやって何回も重ねたものをすべて家に帰って水に流す。

 どういう事だい?

 朝から晩まで化粧をするのは、家に帰ってから素顔になるため?

 ちがうよ。
 見栄を身につけるためなんだよ。

 肌がこんなに綺麗でしょ?
 唇がセクシー?
 見てみて。あたしって可愛いでしょ?綺麗でしょ?
 流行に流されて、自分の主張がいまいちでしょ?

 そういう事をアピールするため。
 メスとして、オスにセックスをアピールするためだよ。
 だから素顔は見せられないんだよ。
 胸と尻だけじゃ、もうセックスアピールとしては弱いんだ。
 だって、服の中に押し隠してるでしょ?

 服の下にはパンツとブラジャー。
 普段は3枚1000円のパンツとか、5000円以下のブラジャーとか。
 ばばくさいカラー、伸びかけたゴム。
 そういうのだって平気平気。見せないもん。見えないもん。
 でも、見せるときは別問題。
 胸と尻はアピールポジション。
 化粧をする代わりに下着で武装する。

 上下そろいのシルクだったら二万円くらい、いやそれ以上するよ。
 総レースでゴージャスに1万5千円以上。
 このときのためにとっておいたスケベパンツとすけすけキャミソール。
 赤黒紫お好きな色で8000円。

 やべっ、そろいで身につけるの忘れちゃったよ。
 そういうときはシャワールームから戻ってくるとき、
 思いきって素肌にバスタオルで登場!
 もちろんお部屋の電気は暗くしてって頼んでおこうよ。
 そうすりゃちょっと出っ張った腹だって、ちょっとたれた胸だって、
 そんなの気づかれなくてすむかもね。

 毎日毎日化粧をして、毎日毎日それを落とす。洗面器にたまった水に浮かんでいる化粧の油は、その分だけ身体に見栄を張りつけてるってことだよ。それはメスの見栄のせいで、悲しい習性ともいえないかな。今はオスだってアピールのために化粧するやつもいるけど、そういうのが好きなメスはまだ少ないから。
 外見を磨くより、中身を磨いているメスって言うのは割と気づかれないまま埋もれてくよ。
 でも、あたしみたいにどっちも磨いてないのは駄目さ。どっちかでも磨いとけってね。



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