行人徒然

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それから
2001年10月04日(木)

 アメリカでテロ騒ぎが起こってから、もうどれくらいたつのだろうか。あんなに強い衝撃を受け、とてつもない不安を受けたと言うのに、驚いたことに自分は何日の何時にその事件が起こったのかを忘れていた。
 それだけじゃない。
 戦争が起こるだろう。日本もおそらく巻き込まれるだろう。そう思って、やはり自分の生活している基盤の弱さを感じた割には、そんな不安が消え去ったような毎日を送っている。
 あれから・・・多分、もう3週間くらいたったんじゃないかと思うんだけど、すでにあの事件は自分の中から遠くに去っていってしまったような感じだ。事件当初はすぐ隣で、自分の国内で、住んでる家のすぐそばで起こった事件のような気がしていた。でも、今は違う。
 あの事件はやっぱり、海の向うの、とても遠いところで起こった事件に過ぎなくなった。戦争も、自分とは何の関係のない、遥か遠くで起きる事件の様だ。

 人はたくさんの技術と手段を得て世界を小さく小さく、コンパクトにしようとしている。小さくなった地球の上で起こる事件は、同じように小さくなるのではなくて、反比例する様に大きくなっていく。
 遠くの世界だと思っていても、昔遠かっただけで、今はすぐ隣であることにどうしても頭が働かない。卓越した情報処理能力を持っていないと、あちこちから垂れ流される世界の出来事にもまれて自分が磨耗してしまう。

 この前名倉くんと飲みながら話をしていたんだけど、日本人は基本的に八万の神(やおろずの神=何にでも神様がいるという信仰)を信じているし、絶対神を持っていない。だから、今回の事件の真相を感情で掴むのは難しいだろう。
 神様が一つしかないということは、その神様が間違っていると言われた時、何を信じていいかわからなくなる。たくさんの神を信じていれば、『あれは悪い神』『あれは良い神』と、自分の中で折衷をつけて生活を続けていくことができるはずだ。

 ・・・・・。
 長くなりそうだから、神様の話はまた今度。



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