行人徒然

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政治家先生
2001年07月17日(火)

 そろそろ選挙が近いせいで、街頭が何やら騒がしい。そして、いつも思う事をまた思わなければいけなくなる。

  名前を連呼する以外の選挙方法ってないんですか?

 まるで自分が一般市民から人望がなく、政治家としてのカリスマが少ないので演説会に人が集まらないので、仕方なくインプリンティングしてますと言ってるみたい。
 公約を目に見える形で果たさない政治家が多いから、民衆はだんだん政治家に期待しなくなる。そう言うことも考えられないのかな。私服を肥やす算段で精一杯ですか?
 もうひとつ。芸能界の方やスポーツ界の現役の方で立候補する議員。これも嫌いです。政治一本で生活している議員さんでさえ上手くできない日本の舵取りが、二足わらじで果たして上手くやれると思っているんでしょうか。
 二兎を追う者は一兎も得ず。
 どちらかにしてください。知名度だけで期待されても、すぐにつぶれてあなたの所属政党の名前を汚すだけですよ。


 地元の話ですが。
 市役所が老朽化して、それを改築するかどうかで数年間もめました。市民の半数以上が、ふだんつかうことのない市役所の改築に税金をつかうことを拒みました。
 ある年、若手の無名議員が立候補しました。32歳、塾講師。
 彼はたった一人で毎朝駅前に立ち、雨の日も変わらずにスーツ姿で、しかもマイクさえ持たずに自分の意見を述べていました。帰宅ラッシュの時間は、塾講師として仕事をしているので姿がありません。
 彼の話しに耳を傾ける人はいませんでした。そこで彼は思い切った手段に出たのです。昼間、道を歩いているおばさんたちに、なぜ自分の話を聞いてくれないのか街頭インタビューしました。

 難しいから。
 興味ないから。
 覚えきれないから。

 いろいろでました。
 彼は塾講師です。わからない生徒にわかりやすく教えるのが仕事。
 彼は毎朝の演説のとき、カンペを持った事はありません。しかしよく慈雨tから、たくさんの紙の束を持っていました。皆さんに読んでもらう為に。電車の中で、ちょっとでもいいので読んでください。
 名前を連呼することなく、自分の意思を述べるのでもなく、彼はそう言ってチラシを毎朝配りました。内容は毎日変わりました。必ず彼が公民館を借りて行う演説会のお知らせが書いてありました。
 最初、誰もが彼が当選するとは思っていなかったのに、トップで倍以上の差をつけて当選したのは彼でした。
 誰もが反対している市役所の改築。どうしてそれが必要なのか。彼は自分で役所に赴いて担当者に話を聞いたそうです。
 毎日毎日歩いて、歩いてですよ?道端のおばさん、あばあさん、おじさん、おじいさん、子供達。そう言う人たちに、どんな市になったら嬉しいかをきいて歩いたそうです。
 彼はただの塾講師で、立候補するためのお金を作るのが精一杯で、ウグイス嬢なんか雇えなかったのだと言っていました。

 彼は今でも市議会議員を務めています。議会のあった日の夕方と翌日には、彼の姿が駅前にあります。彼は議会の内容をまとめて市民に配っているのです。みんなの市をよくするための会議だからと、彼は言います。
 今、駅のそばの文きりを立体交差化するかどうかでもめていますが、彼はなんて言うのでしょう。できの悪い市民と言う生徒達に、彼はなんて教えてくれるのか、今からとても楽しみです。
 道路工事も減りました。
 公共事業も減りました。
 かわりに、小学校に付属している児童保育所(共働きの子供を放課後預かる施設)を併設していないところには創設し、ついている所はさらに充実しました。
 今は、私立保育園をもうひとつ作るかどうかと言う検討をしているそうです。子供の数は減っても、共働きの家庭が増えているから。もっと夜遅くまで子供を見て欲しいと言う夫婦が多いから。

 彼の政策には反対は勢力が多く、なかなか実現しません。
 個人的なもので申し訳ないんですが、自分、自民党嫌いなんですよ。一回も投票したことありません。でも、彼には入れるんです。彼を支持してます。
 今では塾講師もやめてしまいましたが、時々彼は農家のお手伝いをしています。自分達が食べるものを直に触れたいんだそうです。

 こういう議員さん、他にはいないんでしょうか。
 彼を悪く言うのもよくいうのも、個人の勝手ですけど。



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