行人徒然

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くだらないプライド
2001年06月07日(木)

 ネットサーフィンしてたら、偶然訪れたサークルさんの作品がすごく優れていて驚くことがたまにある。絵描きさんの場合お気に入りに追加してそれで終わってしまうんだけど、これが字書きさんだとそうはいかない。自分のくだらないプライドってやつをものすごく刺激されるのだ。
 そういう場合、大概寝る時間を惜しんでほぼすべての作品に目を通す・・・そして、悔しさと情けなさに歯噛みするということになっている。絶対といっていいほど、そのサイトをお気に入りに加えることは無い。作者さんやそのサイトを認めないのでも認めたくないのでもなく、その人に自分を認めさせたいから。自分だって時字書きなんだと認めてほしいから・・・・くだらないちっぽけなプライドを掲げるのだ。
 誰もが考えるような使い古された陳腐な題材。誰もが考え付くようなありきたりの展開と結末。それを踏まえていてもなお、そうと感じさせない周到な台詞回し、人物描写、裏打ちされた膨大な知識。
 悔しい。
 何年自分は字書きの真似事をしているのだろう。何年知識を詰め込めば、必要なだけの量を手に入れることができるのだろう。あとどれだけ書けば、あそこまで達することができるのだろう。
 悔しい。
 臓腑をえぐるような目のくらみを感じることもある。情けなさに涙が浮かぶことがある。自分には山の頂は見えない。どんなに登っても、目の前には同じ高さにそびえるかすむ山壁。
 足元を見れば、わずかな高さだとわかっている。過去を掘り起こせば赤面するほど稚拙な跡が残っているのも知っている。そのころに比べようも無いほど腕が上がったのではないかとも思いたい。
 でも、自分が進む場所は過去じゃない。見つめる場所は果ての無い未来と限りある時間。
 悔しさを覚える限り、きっと自分はまだ成長できるはずだ。くだらないプライドを掲げている限り、悔しさをばねにできる。
 まだ書きたいという思いがあれば、きっと書いていける。遠くに峰を眺めている時間が、本当は一番いい時間かもしれないから。



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