各務が派遣されている営業所には、どうやら2人の霊が住んでいるらしい。二人とも男性なのだが、たいした霊感も無い各務にもちゃんと見えるところを見ると、相当強い霊なのだろうか。 一人は入り口付近によく現れる、グレーのスーツを着た男性だ。身長は推定180センチ弱。各務が机に座って仕事をしていると、視界の端にあるドアのあたりをうろうろするだけなので、特に問題はない。 ドアから入ってきて、応接室の方に入っていくから 「お客さんかな?」 そう思って顔を上げると誰もいないので、彼だとわかる。逆の行動をとることもある。 もう一人は、各務の席周辺に現れる。 各務が休憩室(とは名ばかりの小さな仕切り部屋。ロッカーとか、冷蔵庫がある)に座って昼ご飯を食べていると、彼はいつも現れる。 下はスーツのズボンだが、これもやっぱりグレー。しかし上着を脱いで、白いワイシャツ姿だ。身長は推定180センチ以上。ドア周辺の彼より、少し大柄だ。もちろん、横幅も一回り大きい感じもする。 彼は休憩室の入り口前を通り、各務の席の後ろを通って、困った君の席のあたりで消える。 おばちゃんに聞いてみたら、彼女もみたことがあるらしく、そうね、何て言っていた。 しかし、どっちもうろつくだけで、別に各務やおばちゃんの肩を叩くとか、変な音を出すとか、PCのスイッチを切るとか、そういう業務に差し障りのあるいたずらをする事はないので、そんなに困っていない。 しかし、彼らはなんでこの営業所をうろうろするんだろう・・・?
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