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窓のそと(Diary by 久野那美)
by 久野那美
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■ 【クチミミ稽古日記・2日目】間でバランスをとってはいけない


稽古2日目。

それに先だって、台本の改訂をしました。
先日の稽古でわかった一番重要なこと。
読み方のせいか、文章のせいか、………長い。長すぎる。

読み方は工夫してみるとして、それにしてもやっぱり言葉に無駄が多い。

文章の質にあった長さってあると思っているので、必要な長さを削って無理に短くするのは反対だけど、私の文章は長いと碌なことがないので、削れる限り削ることにしています。なので、毎回、稽古のたびに台本はどんどん薄くなります。そもそも、最初に全体を決めてから適切に書き始めて無駄なく書き終わる、という技能がないので、とにかく書いてからいらないところを削らないと、いらないところの方が多い状態になってしまうのです。

なので、稽古の前にせっせと分量を削減し、出演者に送りました。
ついでに本番を見据えて、縦書きにしました。

稽古までまだ少し時間があったので、「演出プラン」を考えることにしました。

前回の稽古の際に、
「今回、どんなことをやってみたいか」という話を出演者と二人でしていて、
その中で、

・ひとり音楽劇にする。
というのがあったのですが、それについて真剣に考えてみました。

話し合いの時には、
・読み手が楽器を携えて、台詞の合間に演奏する。

という案があったのですが、具体的に検討してみるとものすごく無理があることがわかってきました。問題は、本と台詞です。

まず、手軽に演奏できて雰囲気のある楽器〜オカリナとかリコーダーとかハーモニカ〜は、演奏している間、本を読めない、という点で却下されました。
それなら、手だけで演奏できるキーボードとか木琴とかはどうかと考えたのですが、ずっと<本を持っている>という朗読の壁の前に、やはり却下されました。結果的に「ひとりで朗読しながら演奏する」というのは相当工夫しないと難しいということがわかり、断念したのですが、でも、これは今後何らかの形で実現させたいと思いました。

※注 つまり、今回は楽器を演奏することはありません。


そうこうしているうちに、稽古の時間になりました。

先日できなかったプロローグの部分の稽古から始めました。
上空から物語がふわっと降りてきて、役者さんを通して客席に抜けていくような感じにしたくて、出演者の片桐さんにいろいろと無理を言いました。
最近、たくさんの舞台に客演してぐぐっと実力をつけた彼女は、私が、
「こんな感じにしたいんです」と云うと、
「はい。」と云って、いろいろバリエーションを工夫して見せてくれました。
彼女と一緒にお芝居を創るのは4回目ですが、毎回、前回まではなかった新しい仕方で関わることができるのがとても面白いです。
役者さんも変わっていく。私も変わらねば。と改めて感じました。


この日のいちばんの発見は、「リズムをとるための間はニュアンスを吹きとばしてしまう」ということでした。
台本を短くしたにもかかわらず規定時間をかなりオーバーする始末で、これはもしや読み方の問題ではないのだろうか?という話になったのです。

私の文章の癖なのだと思いますが、電車のガタンゴトンくらいのリズムで一定の波ができてしまって、読むのは気持ちよく読めるみたいなのですが、間延びして眠くなるのです。そして長い。そして、先日の稽古日誌の言葉で言うと、「物語のコスプレ」になってしまって意味が分りにくいのです。

「一定の間隔で間をとると、長いし眠いし意味がわからないので、とにかくその間を詰めることを考えましょう。」
と私は云いました。
片桐さんは、「はい。」と云って、もう一度読んでくれました。

不思議なほど、さっきと同じでした。

「詰まってないですね。」と私が言うと、
「難しいですね。」

私は、コスプレ向きの台本に責任をとるため、間を詰めるべき文字の間に「ツメ」印を入れていきました。片桐さんはそれをじっと見ていました。

印を入れた本を持って、もう一度読んでもらいました。

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07月22日(月)
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