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きゅっ。
by きゅっ。
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■薪ストーブ専門店中村工房のコラム
弟が生業としている薪ストーブ屋、『薪ストーブ専門店中村工房』。この薪ストーブ専門店中村工房にも立派なホームページがある。更新頻度は高くないけど、薪ストーブの良さ、本物の火の暖かさが伝わってくる手作りページだ。
左側にコンテンツメニューがあって、その一番下にコラムのページへのリンクがある。
毎年、古いページは捨てて(?)、新しく作り直しているようだ。
その2008年の最初のコラムを最近になって読んだ。そして、弟が書いたものを、自分勝手に解釈して、目頭を熱くしてしまった。

*****

『2008年正月。暮れの30日から降り続いていた雪が止んだ。暖冬小雪と言われているようだが、ここ魚沼の山間部では結構な積雪となり、我が家の裏山はご覧の通りだ。毎年のことだが正月は凛とする。それは1年の始まりである独特な緊張感とどこか非日常的な部分が正月にはあるからだ。私の住んでいる集落では昔から元日の朝公民館にて年頭祝賀会が行われる。』

【中略】

『私の場合、その後毎年 淳ちゃんの家、ケンちゃんの家、そしてイソシンの家と飲み渡り、ぐてんぐてんになり夕方ようやく村はずれの我が家へ雪まみれになりながら大酒飲みの大酔払いと化しご到着。そして妻の初雷が脳天に突き刺さり意識不明のまま元日は過ぎて行く。ところが、今年は真直ぐに家に帰った。「ただいまぁ。」なんて言ったりしてね。』

【中略】

『ここで私は言った。「薪ストーブに火を入れ忘れた!」 するとまた不思議そうな表情をする。確かにリビングに設置している赤いアンコールは綺麗な炎で静かに燃えているし、トップグリドルにはいつものようにケトルやスティマーがあり蒸気がゆっくりと出ている。冬の正しいリビングの姿である。』

【中略】

『私は上着を置き、ゲストルームの和室に行き、神棚に手を合わせ、我が家のもう一台の赤いイントレピッドU(和室設置)に火を入れた。針葉樹の炊きつけを入れ、2年物の楢薪をくべる。見る見るうちに炎が大きくなり、あっという間にサーモメーターはベストゾーンを指し始める。イントの立ち上がりは天下一品だ。ダンパーを閉め、少し空気調整をしぼる。真っ赤なストーブがボルドー色へ変わっていく。白いケトルを乗せなおし、外へ走り出る。我が家の2本の煙突からはゆっくりと煙が上っていく。う〜ん。たまらない。私は次に工房へ行きシャッターを跳ね上げて、ワークルームのイントレピッドUに火を入れた。前日から準備していたよく乾燥している薪はパチパチと音を上げ燃えていく。そして事務所へ入り黒いアンコールNCに火を入れる。薪ストーブ屋のストーブだけあって良く燃えると改めて感心してしまう。ソファーにゆっくりと腰を下ろし、アンコールの炎を見つめる。物音一つしない工房内でただただ炎の音が聞こえる。温度が上がったのを確認しダンパーを閉じ二次燃焼する炎を確認し外へ出ていった。そしてすべての煙突から微かに出る煙を眺めた。

雪道を30mほど走り我が家と工房を振り返る。雪景色の中で黒い煙突からゆっくりと煙を吐き出す我が家と工房。それは何か大きな生物が呼吸をしている様に見える。力強くそれは見える。

最高の元日だ。

ただただ「元日初火入れ」をやりたかっただけで、私は飲みたい酒を飲まず、飲み仲間を振り払い、後ろ髪を引かれる思いであったが、所有するすべてのストーブに火を入れ1年間の祈願をしたかった。

正真正銘の「薪ストーブ馬鹿である。」』

→薪ストーブ専門店中村工房(http://www.02579.jp/smith/

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【追記】
俺が自分勝手に解釈したってのは…

実は、弟のHLAとは合わず、同胞間移植は見送られたんだけど、
臍帯血移植の生着率はそれなりにリスクがあるんで、もしもの場合、バックアップとして弟からのNIMA移植が予定されていた。俺には、バックアップとしては、それしかなかったんだ。骨髄バンクはダメだし、細胞量の多い臍帯血はもうなかったし。
でも、NIMA移植の成功率って、メチャメチャ低い。
それでも、弟は俺の入院以来、酒をやめ、たばこを断ち、Xデーに備え続けていてくれた。


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03月10日(月)
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