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きゅっ。
by きゅっ。
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■初日GS
 マリの場合、客観的に見て高い運動能力を有していると思う。親の子じゃないところがあると思う。小学6年間、男子にカケッコで負けたことはないし。器械体操も教えたわけではないのにすぐできるようになっていたし。

 ただ一つ、アルペン競技については、取り組みが遅かったと思う。
 初レースが小学5年生の津南ジュニア(3月上旬)。
 この時点で当時の同学年トップと一本50秒のコースで7・8秒のタイム差があり、テクニック的にはまさに大人と子供の差があった。

 レース終了後、すでにキレていた私は、娘の姿を見つけた。マリは、いつものように仲間たちと談笑していた。

 『悔しくないのか・・・。』

 嬉々としているその姿を見て、頂点に達していた怒りは爆発を起こした。

 「マリ!」
 「マリ!こっちへ来い!」

 困ったような顔をして、娘は、いつになく怒った顔の父のもとへ来た。

父:「今日はどうしたんだ?」
娘:「転んだ。」
父:「なんで転んだ?」
娘:「内倒したから。」
父:「内倒したって?あんな緩斜面で内倒して転ぶのか?転んでも滑ってくれば、いいだろう?」
娘:「板が外れた。」
父:「板が外れたら、履いて、また滑ればいいだろう?」
娘:「板が遠くにいってしまって、登れなかった。」

 板が外れて、遠くにいって、レース続行ができないことは、まぁわからなくもない。アルペンではよくあること。誰もが経験している。

 ビンディングに設定した解放値を超える過負荷がかかった場合、ビンディングは外れるようにできている。セーフティビンディングが導入されてから既に30数年経つが、いまだに誤解放があるのは、ボディ・ミラーの今季前半のSLを見てもわかる。正しい解放値でも外れることある。
 また、レースにおいては、通常の解放値ではダメ。解放値は、練習時より2目盛りくらい上げるべきだと思っている。解放しなかったことによって怪我をする可能性より、誤解放によって怪我をする可能性のほうが高いとも思っている。

 なので、スタート前に解放値を自分で調整させている。ほとんどのレース、スタート前に付き添っていてあげられない。スタートワックスやスタート前の準備は、本人にさせている。そして、ビンディングについては、スタート前に必ずバネをフリー(完全に緩める)の状態にしてから締めなおさせている。こうすることで、適正なビンディング機能が発揮されるし。

 ところが、それなのに、スタート前にビンディングを見ていなかったというのだ。

 「解放値がいつものとおりだったから、そのままでいいと思った。」

 この時点で、娘のウソを発見してしまった。
 それは、『解放値がいつものとおり』だということ。
 実は、家を出発する時点で、トゥピースだけちょっと締めていた。
 スタート前に確認していれば、解放値が違っているなというのがわかるはずなんだが。

 過去に、あるレースで、ある有力選手がスタートハウスに入って、スタート直前に解放値がゼロになっていたという事件があった。当然、複数のサービスマンがチェックしているはずなのだが・・・。このように、『生き馬の目を抜く』という戦いも否定できないのがレースの実態だ。

 ・・・ということは、もしかして、いままでのレースもずっとビンディングについて何もしてこなかったんではないか?そんな疑念が生まれた。だから、完走が低かったのかも・・・と変な納得がいった。

 SAJのB級レースでも顧問がしっかりいるところやチーム単位で動けるところは、スタート準備をコーチが行っている。そして、チーム力のあるところは、失敗がとても少ない。トランシーバーでコース状況を逐次スタートハウスの選手に届け、インスペクションイメージの修正をさせ、スタート順の遅い選手たちには、貴重な情報となっている。まぁ、戦略的にウソの情報を流している可能性も考えられるけど・・・。

 娘のウソを見抜いてしまった私の怒りを静めてくれる人は、もうどこにもいなかった。以後、怒りまくった。まずは、ゴール地点で。そして駐車場で。他人にも聞こえる場所で怒鳴りまくった。


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03月29日(土)
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