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Kenの日記
by Ken
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■ギリシャ債務問題
ギリシャ債務返済期限が迫り、EUは新たなローンを提供する代わりに「年金改革・消費税・財政支出圧縮」などの一連の改革を要求しています。ギリシャ国内の銀行は預金者の預金引き出しが進み、資本現象しているため倒産を防ぐための資金供給の必要性から、ギリシャは日々必要な「資金」が増えている状況のようです。
それでもチプラスギリシャ首相は強気です。EU側に譲歩を要求するとともに最近西側との対立が顕著なロシアに接近して「ロシアからの資金援助」というカードを散らつかせてEUとの交渉を有利に進めようとしています。世界の株式・為替マーケットはこの「ギリシャ債務問題」に神経質になっていて債務返済期限が迫るたびに市場が変動するようになってしまいました。
しかし呆れるのは「借りている側が強気で、日本では考えられないような粘り越し」を見せている点です。日米開戦のきっかけとなったアメリカの対日本石油輸出禁止措置や在米資産凍結処置に溜まりかねて日本は戦争の道を選びました。強いものどうしの争い・強いといきがっているものの争いはしばしば不幸な戦争に繋がりますが、貧しいもの・失うものが無い者が争うときには「弱いものの側」が優勢になるようです。
ギリシャは都市毎に発展していた古代文明期の後そのままローマ帝国に支配されました。そしてローマ帝国分裂後は東ローマ帝国の支配下に置かれ、その後はオスマントルコ帝国の配下に置かれました。その後オスマン帝国が衰退し19世紀前半にアテネを中心とするギリシャの国が成立しました。しかし東はトルコに接し、北はバルカンの火薬庫に近いため安定した国作りはできなかったようです。従ってヨーロッパ各国が中世の封建主義絶対王政・ルネサンス・宗教改革を経て近代国家(国民国家)に変身していった過程はすっぽり抜けているのがギリシャなのです。ギリシャ国民はそんな地政学的特質に翻弄される「国」に対しては覚めた見方をしているようです。ローマ帝国配下・オスマン帝国配下、EU配下と指図するボスが変わったように、今度も変わるのかなと思っているのかもしれません。
06月19日(金)
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