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Kenの日記
by Ken
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■過去に正面から向き合うこと
「ぺリリュー(レイテ島)の戦い・硫黄島の戦い」では1944年後半から1945年前半にかけて日本の敗戦が濃厚になる中で太平洋の軍事拠点で「玉砕」という非常に悲劇的な「大量死」が発生しました。この二つの戦いは圧倒的な米軍の装備・兵力に対して、補給が途絶え弾薬の数の限られた守備部隊が知恵を凝らして戦い、短期間で制圧可能と考えていたアメリカ軍の大損害を与えて数か月もの間米軍を釘づけにしたものでした。
戦国時代の「真田昌幸」が上田の城を徳川の大群から守り抜き、大阪夏の陣で「真田幸村」が家康本陣に迫ったように少数精鋭兵力が強敵に立ち向かって善戦する戦記は人気があります。大阪冬の陣・夏の陣の豊臣軍の状況とその精神構造は、70年前の敗戦の状況にかなり似ていると思います。たぶん70年経った今でも多くの日本人の「心」は変わっていないのでしょう。この二つの玉砕戦における「守備隊」の戦い振りとか「特攻隊戦士」を英雄的に評価する論調は多いようです。
アメリカ軍は豊富な武器弾薬の兵站に加えて病院船の配備・戦車等の修理部隊の配備等非常に用意周到に戦いの準備をしたことに比べ、日本軍の戦い方は極度に精神力に頼ったゲリラ作戦でした。当時アメリカ軍は日本軍の行動を理解できずに非常に恐れたようですが、それはちょうど「ISIS」や「ボコ・ハラム」のゲリラ戦法に対応している現在の心境と似ていると思います。日本人としては非常に複雑ですが、過激派のテロ行為はかなりの部分、70年前に日本軍が思い至った強敵に立ち向かう戦法なのです。
そろそろ「桜」の季節ですが、毎年綺麗に咲いた「桜」が潔く散る姿は日本人の精神構造に深く影響を与えてきました。しかし国全体がそちらを向いていてどうしようもなかったからと言って「玉砕戦法」・「特攻隊の戦士」を英雄視するのは、過激派テロ組織の女性兵士が自分の身体に爆弾を巻いて爆発させるテロを英雄視することに近いと思います。家族が暮らす日本本土への攻撃を遅らせようとする玉砕決戦のために兵士に「死」を強要するのことを決して英雄視してはいけないと思います。
今日ドイツのメルケル首相が来日しました。記者会見で問われて答えたメルケルさんの言葉は非常にシンプルですが日本人に対して真摯なアドバイスとなっていると思います。メルケルさんは隣国フランスの理解もあったが、ドイツが"had faced its past squarely"したことが戦後の隣国との関係修復に役立ったことを述べられました。国内世論には安倍首相のタカ派的姿勢を評価する向きもありますが、政治指導者には過去に正面から向き合って欲しいと思います。
03月09日(月)
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