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今日の私
by かずき
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■『天保十二年のシェイクスピア』(蜷川版)
<場所>シアターコクーンBR12番(中2階上手側)
<時間>1幕18:30〜20:30、2幕20:50〜22:30
<作> 井上ひさし<演出>蜷川幸雄<音楽>宇崎竜童
<主な出演>
佐渡の三世次:唐沢寿明、お光・おさち:篠原涼子
鰤の十兵衛:吉田鋼太郎、お文:高橋惠子
よだれ牛の紋太・蝮の九郎冶・幽霊役の農民:西岡徳馬
お里:夏木マリ、小見川の花平:壤晴彦、尾瀬の幕兵衛:勝村政信
きじるしの王次:藤原竜也、お冬・浮船太夫:毬谷友子
佐吉:高橋洋、閻魔堂の老婆・飯炊きのおこま婆:白石加代子
隊長:木場勝己
オープニングとエンディングで歌われる曲が全て。
♪「もしもシェイクスピアがいなかったら、これから
始まるはずの芝居も、ここでおしまいさ〜」って。
いのうえ版が、この お話自体の面白みに着目して、
三世次のピカレスクさを前面に押し出そうとした版なら、
蜷川版は、真正面から「シェイクスピア万歳!」って感じ。
これで、原作からどれくらいカットされているのかは
知らないけれど「シェイクスピア全作品を入れた脚本」
という部分をメインに押し出して、客も含めた皆で
「シェイクスピアってすごいね〜」って楽しむのが主意義で、
「一見さんOKの普通の面白さ」は二の次って印象かも。
だからやっぱり、蜷川Yearをちゃんと観てきた人が、
一番、楽しめたんだろうなと思うと、結構悔しい気分。
せっかく、今まで演じてきた人たちが自分の持ち役を
演じているのに、観てない私には面白さが後一歩だし。
高橋惠子と西岡徳馬夫妻の息子が藤原ハムレットとか、
白石婆ぐらいしか思い出しちゃうものがない。鋼太郎さんって、
リア王演ってたっけ?演ってても、私は観てないしなぁ。
観ていれば一緒に、うわーっ、あの演技した人が、こんなこと
やっちゃうんだ(笑)って楽しめるのに損した気分。
でも、知識に乏しい分、ただ観るなら
いのうえ版の方が面白いやと思ったけれど、
知らないなら知らないなりにも楽しめたのも確かで。
だってまあ、そうそう見られない面子が集まって、
お祭りやってくれるんだし、何より皆 楽しそうで。
エンターテイメントとしてのバランスも取れている。
最初振り返った、夏木さんのグリグリの化粧には
ちょっと引いたけれど(他のお客さんは笑ってたけど)、
割と真面目に演じちゃってる勝村さんもあり、うわー、
バカバカしい(^^;と笑えちゃう徳馬さんの亡霊役もあり。
幕兵衛役が真面目気味で、亡霊&王次の場面が
笑えるのは いのうえ版でも同じだから、とにかくは、
脚本がうまいってことなのかな?でも演出も、
すっごいチープな殺されちゃう猫とか、黒子さんたちが
押してくる三越劇場風味なセット転換がお気に入り。
印象に残ったのは、その亡霊(&三世次)&王次の場面と、
とにかく王次出演全場面!すごいわ〜、藤原竜也!
きじるしの場面での女形っぷりは、色っぽくてクラクラしたし、
「弱きもの、汝の名は女」で、腰振りまくり股間なでまくり、
思いきりバカで明るい若者っぷりエロエロも素敵〜(*^^*)
そして、圧巻は「To be or not to be, that is the question」。
(なんか英語間違ってそうですが、見逃してくださいませ)
新しい方から日本最古の翻訳まで遡って演じていくのですが、
ちゃんと翻訳の雰囲気と合わせて真正面から演じていて。
口語のハムレットと文語のハムレットと、最後にオチまで。
ナレーションしてくれる木場さんもすごいんだけど、
いやもうこれだけでも、もう一度観る価値あるよ!
あと好きだったのは、高橋さん。なんか可愛い〜♪
というか、1幕の時点では高橋さんだと気づかなかった。
幕間に「誰?」と聞かれて、知らない人だと思ってたので、
びっくりしてしまいました。トコトントコトン…って、いいテンポ。
もう、これでもか〜!ってドロドロ人間したシェイクスピアの
人々だらけの中で、一服の清涼剤になっていました。
2幕ではロミジュリだったんだろうから、それでいいんだけど、
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10月07日(金)
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