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今日の私
by かずき
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■キム。
もし、いきなりこの日記にたどり着いた方がいらしたら、
昨日の分の前半、キムに関する部分だけでいいので
先に読んでいただけると、非常に嬉しいです。
珍しい事ですが、話が昨日から続いていますので。
いや、友人から ものすごーーい抵抗を受けまして。
「子供の親はクリス?」と聞かれて、「照れたように
嬉しそうに答えた」という感覚が本っ気で理解不能だと、
?と!マークを山が数個できるほどつけて言ってくれて。
彼女には一生懸命説明したけれど、同時に、昨日の
文章を読み返してみて説明不足だったなと思ったので、
昨夜から今日にかけてこの文章を読んで「はあ?!」と
思った方々のために、一生懸命言い訳などを。
多分、キムに感情移入している人にとっては、
「笑顔」は、理解しがたくて当然だろうと思います。
私も昨日、そこで微笑んだキムにボロボロ泣きながら、
「やっぱりキムって、捨てる側に都合のいい理想というか
幻想の固まりなんだな」と、頭の隅っこでは思ってましたし。
この話の展開で、人間としてキムの感情を追っていけば、
「微笑めるわけなんかないじゃないよ!」が正しいと思う。
でもそう思うからこそ余計に、「こんなに汚れなき少女が
死んでしまうなんて」と泣くために作られた舞台だと感じた。
そのためには、キムはどんなに不当に扱われても怒らない。
エレンに対しても、相手を信頼しての願い・祈りだけで、
はっきりと拒絶された後にも怒りではなく悲しみのみ。
あの場面で微笑んで答えられるくらい「人を疑ったり憎んだり
嫉妬したりというマイナスの感情を一切持たずに、ただ、
彼を愛することだけで生きている女性を襲った悲劇」なんて
ありえないものを描きたかった話なんだなと思ったんです。
1幕では「はあ?!」とか言ってたジョンが、2幕でキムと
ちゃんと話した途端「こんな愛に生きる女を〜」になるし。
本来、この話の「キム」にリアリティなんかはない。
彼女に感情移入しようとして観ていけば、途中で必ず
理解できない部分が出てきて「ありえない」と思って当たり前。
私はそう思いながら、同時に素直に製作者側の意図に乗って、
「こんな子がなぜ死んでしまうなんて・・・」と泣けたんです。
ただ、私にとっては、そういう解釈をすることで初めて、
この話の展開を ようやく齟齬なしで納得できたし、
それが今まで私が読んできた感想文とも噛み合ったことで、
「これこそが本来の『ミス・サイゴン』だ」と理解したけれど、
もしかしたらそんなの大いなる勘違いかもしれないし、
それが正当だとしたって、アジアで上演するからこその
「キム」に人間性を持たせた作り方は有りだと思う。
やっと1つ、自分の納得のいく『ミス・サイゴン』が
見つけられたんだから、別Versionも理解し易くなるといいな。
11月18日(木)
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