ID:69077
今日の私
by かずき
[417811hit]

■(9/5観劇分)『I Love You 愛の果ては?』楽、『ミス・サイゴン』一孝-岡初日
でも、アメリカが犯した罪が題材でありながらヨーロッパだけでなく
アメリカでも受け入れられる理由が分かるような気がした舞台。

石井・(岡)・高橋だと「独自の正義感に満ちたアメリカン」色が強い。
やってることは全然変わらないのに、彼らなりに真剣に良い方法を
模索しているから、これを作ったヨーロッパ人としての視点を
忘れないように観ていないと、つい、間違って感動してしまう。
明らかに嘘くさい岡ジョンですら、あまりに三つ揃いが似合って
かっこ良く、感動的に歌い上げるから、つい だまされそうになる。
今回も、何となくいい話を観たような気がして満足してしまっていて、
観劇後しばらくして いきなり「だまされた!」と気づいたり(苦笑)

多分、本当の『ミス・サイゴン』はこれなんだろうなと思った。
どうしたらいいのか、いつも真っ向から熱く真剣に悩むクリスと、
愛する夫の子を成し、今でも彼の夢に出てくる女性という存在に
女として苦しみながらも、夫の罪を償うため親切にしようとするエレン。
彼らに真剣に共感して素直な涙を流すも良し、「けっ!これだから
アメリカ人なんてロクなもんじゃねぇ」と作品に拍手を送るも良し。
井上・坂元・ANZAだと、聡いアメリカ人は「バカにするな!」と
腹立ててしまうかもという気がする分、あくまで日本仕様な感じ。

あと、今日になって初めて、クリス(少なくとも石井クリス)の感情の
流れが、話の中でつながって理解できたのは、ちょっと感動でした。
アメリカでもベトナムでも自分の「正義」を貫ける仕事は見つからず、
くさっていたところに、ただ一つ見つけたのが「キムを守ること」。
純粋なそれを守り抜くことこそ自分の使命と感じていたのに、
それすらできず、とうとうアイデンティティの崩壊、言葉を失って。
エレンと結婚してからも、自分が保護すべきたった1つのものすら
守りきれなかった駄目アメリカンだという意識が悪夢となって現れる。
そんな感じ?もちろん、そういう存在である彼女に救われたのも
事実だろうけど、下手すると3人クリスの中で一番、キムのことを
女性(人間?)として愛していなかったのは石井クリスかも。

そんな感じで、アメリカ側がものすごい納得の舞台でした。
岡ジョンも石井クリス相手なら、政治的にでなく親しいと分かるし(笑)
もちろん、泉見君も切なさいっぱいのトゥイを今日も安定して好演。
市村さんは相変わらずパーフェクトな市村エンジニアだったけど、
この、何度もリピートして味を噛み締めたくなるアメリカ側の前だと
完成されすぎた洗練度合いが、逆に物足りない印象があったり。
新妻さん演じるキムも、防音ガラスに囲まれてでもいるかのように、
歌からも演技からも感情が伝わってこず、見えてくるものから
何を表現したいのか推測するしかないのが何とも もどかしいので、
いっそ、筧エンジニアと玲奈キムを合わせて、濃いぞ!文句あっか!
って感じのメンバーだと、きっと私好みなのかなとか思ってました。
(実は、筧・笹本・石井・岡・高橋の日って、存在しませんが。)

09月04日(土)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る