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とも蔵日記
by とも蔵
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■人助け その二
という訳で、誰も楽しみにしていないと思いますが、前回に引き続き、今度は綺麗なお姉さんを
助けた話をスパッと簡単に書きます。

といっても、かれこれ10年近く前の話なんですがね(笑)
大雪が降った次の日で、道路にはまだ大量の雪が残っており、慎重な運転が求められる状況でした。
そんな中での配達。
通勤の電車は、毎日ほぼ決まった人達が同じ車両の同じような場所にいたりすると聞きます。
ルート配送も意外にこういう事が起きるのですよ。
毎日同じ時間、同じ場所ですれ違う、納品の為に車を停めている、そんな事が結構あります。
その(助けた)人もそんな感じの一人でした。
お弁当屋さんの配達をしている背がすらっと高い綺麗なお姉さんでした。
(毎日チェックいれてましたよ、ハイ)
大雪の次の日もいつもと同じ場所に車を停めて納品していると、後からお姉さんがやってきました。
オイラの車の前にすっと入り、バックして車を停めた。
でも後ろにさがり過ぎた。
そこは特に雪深く、俺は「あれは出られないな」と思った。
オイラが先に納品が終わったが、お姉さんが心配で、しばらく車内で様子を見ていた。
お姉さんが納品を終え、車を発進。
しない。
「あ〜ぁ、やっぱりな」
オイラは車を降り、スコップを持ってお姉さんの所へ。
かなり焦っている様子だった。
「掘らないとダメですよぉ〜」と俺。
「あ、すみません、ありがとうございます」
と少し安心した表情に。
(当時俺は四輪駆動車で悪路を走って遊ぶという事をしていたので、車に救出用のスコップを
携帯するのは当たり前の事だった)
掘る。
ザクザク
掘った。
「じゃあ、ゆっくり前進してください」と俺。
(車は2駆のハイエース、MT)
しかし、繊細なクラッチ操作は苦手だったのか、タイヤは空転するばかりで進まない。
こりゃダメだ。
「じゃあ俺が運転しますよ」と。
(俺ってカッチョ良くね?)
まぁ見ててくれよ、と言わんばかりに運転席にサッと飛び乗る。
クラッチを踏み込みギアを1速へ、と思ったが‥‥
あれ?
うそ?
マジ?
すらっと背の高い彼女の身長は俺のそれを遥かにしのいでいたのだ。
なんとクラッチが最後まで踏み込めないのだ。
最後どころか半クラッチにさえもできない(笑)
う、俺ってカッチョ悪いじゃん!!!
しかし、ここで座席を前に移動させるのは、あまりにもアホに思えた。
考えた俺は、座席の先端にちょこんと座りかろうじて1速に入れる事に成功したのだった。
めでたしめでたし。
(終)
そうじゃない。
めでたく1速に入れる事に成功した俺は、静かにクラッチを繋いだ。
無事に車は雪から脱出できた。
よかったよかった。
その後は名前と電話番号を教えてもらう、というのは俺の脳内だけの話で、実際には
丁重にお礼を言われただけで終わってみまった(涙)
「じゃあ気をつけて」と俺。
「本当にありがとうございました」と言い車を発進させる彼女。
が、ここでまた雪にはまってしまった(苦笑)
ガクッ。
「あ〜ぁ、じゃあ俺がその先まで出しますから」と。
(長くなったので割愛します)
こうして彼女は無事に次の納品先へと車を走らせていった。
という訳で、これがドラマだったら、この時の女性が現在の妻です、とかなってしまう
のだろうが、世の中そんなに甘くないのだ。
その後、彼女とは何度もその場所で会ったが、挨拶をするようになっただけで、背の低い俺に
電話番号を教えてくれる事はなかった(笑)
と、話はここで終わらなかった。
10年あまりたった後、この時の女性の正体が判明したのだ。
(結婚して引っ越した)ウチの向かいに動物好きなお姉さんが住んでおり、犬の散歩途中など
よく立ち話をしていたのだ。
その時に突然訊かれたのだった。
「あの〜とも蔵さん、昔雪で動けないお弁当屋さんの車を助けた事ありませんでした?」と。
「ん?」
「‥‥‥」
「あ!!思い出した!!」
「あれって、もしかしてUさん!?」
「そうなんです〜」
「あの時はお世話になりました」と。

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05月22日(月)
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