ID:54909
堀井On-Line
by horii86
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■6460,読書日記 〜『孤独の発明』 −2
           <『孤独の発明』または言語の政治学 三浦雅士著>
   * 孤独は言語の別名
 沢木耕太郎の『深夜特急』。インドからイギリスまでの旅過程での「独り言」を
呟きながらザックひとつで旅する物語。その内語そのままが、孤独の青年の魂の
生の声として伝わってくる。俯瞰の視点を言語化することの重要性を、これを
書き続けることで認識している。それを、さらに俯瞰している自分は、何?

≪・孤独は言語と共に古い。それには理由がある。
孤独とは自分で自分に話しかけることだからである。…人は言語によって孤独に
なり、孤独になることによって言語を得たからである。孤独は言語の別名と
言ってよい。人は、自分で自分に話しかけることによって私になったのである。
・俯瞰する眼は視覚を持つ動物すべてが持つ。目を持つ動物全てが、獲物の外観
に欺かれまいとすれば、回り込んで背後を見なくてはならない。そして、背後に
回り込むためには俯瞰する眼を持たなければならないからだ。だが、恐らく
人間だけが、それを言語によって対象化したのだ。鳥も獣も、追い追回される
ときに、それに整えるときに俯瞰するが、人間だけは、タダ俯瞰するためだけ
に俯瞰する。つまり俯瞰を自覚する。
・寂しさと優しさの感情が重要なのは何故か。孤独に含まれる寂しさと優しさの
感情は、養い育てられるという体験しか生まれてこないからである。「寂しさ」
は、失うことであり、「優しさ」は満たされるからだが、ともに養い親との関係
からしか生まれない。
・支配者の孤独というが、これは逆だ。孤独者が支配するのである。完璧な
支配者とは、完璧に手と足を、口と腹を、排便と性を支配できるものをいう。
この身体の支配を仕方を教えるのが母であり、養育者であって、それら他者の
視線、他者の言語―禁止の命令―のすべてを繰り込んだものを私というからである。
・人は孤独によって結合する。孤独は人間の特性である。その孤独の特性によって
互いに結びあう。 いわば、人と人とは分かりあえないということだけは分かり
あえるというかたちで、分かりあう。孤独な読書において、人は、数万、数十万、
数百万の孤独な魂が結びあうことが出来る、時代を超えて。≫


▼ 孤独といえば、母親から聞かされてきた生立ちの話。 母が3歳の頃、三人
の子供を残し実父が亡くなり、継父との妹、弟と差別と、虐めを受けた話。
それ故に、祖母も継父に気遣い、愛情をかけて貰えなかった生立ちそのままで、
実の子供たちへの扱い方が出来なかった。10人の家族を養い育てるには、幼児
体験のように目先、働くしか知恵が働かなかった無念があったが、言語化出来ない
寂しさは… 30年以上前の話になるが、教育学者の森信三が、亡くなる数年前に、
当時、立ち上げた「新潟木鶏クラブ」の関係で、間接的に母親の生立ちと、
それ故の悲劇話を聞いて、「是非、自分が主催している会に、主賓として話を
聞きたいと…(本人も似たような過去を背負っていた故に…)」
 会員は国内トップメジャーの人たち!末恐ろしくなり、御断りをしたが、
今思えば、母にとっても一番の癒しになったはず! 無念である。その方々は、
号泣したのでは? それだけの実話が詰まっている。両親の上っ面をみて、20歳
の頃に、<自分も創業を!>とは、若さと、高度経済成長が言わせた迷いごとと、
実感する日々。『孤独』、それも幼児体験から滲み出る言葉こそ、魂の叫び。
<「寂しさ」は、失うことであり、「優しさ」は満たされること>というが、
成るほど、人は満たされ、失い、泣き、笑い、7転8倒してこそ人生。 
充実した人生は甘辛い味がする。私の味は甘酸っぱい!ですか。 戦争は拙い!

・・・・・・
4998,暴走する世間 −12
2014年11月20日(木)
     「暴走する「世間」―世間のオキテを解析する」佐藤 直樹(著)
  * 世間とは、差別社会の日本的用語!
 日本の世間にも、欧米社会にも歴然とした格差があるが、高度経済成長と、
バブルと、崩壊を経て、中流階級が、総下流になりつつある中、世間様では

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11月20日(火)
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