ID:54909
堀井On-Line
by horii86
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■3259, 世界の深さは、世界を読む人の深さにかかってくる
  *蒟蒻問答
八五郎。昔の伝で上州は安中で蒟蒻屋を営む六兵衛を頼ってやって来た。 六兵衛さん曰く、
「丁度村の寺に住職が居なくて困っていた所だから、そこの住職になれ」と勧められた八五郎、気楽に過ごしていたが、
ある日、諸国の僧侶が問答をしたいとやって来たから、大変。当時は、問答をして負けた方が、寺を明け渡して出て
行かなくてはならない決まりがある。八五郎は、仕方なく、その日は住職は留守だとして旅の僧を引き取らせますが、
また来る言われ、困った八五郎六兵衛に相談、六兵衛は自分が住職になって適当に追い返すと言うので八五郎は代わってもらう。
次の日、早速旅の僧がやってくると、住職になりすました六兵衛。 僧の前に座ったきり口をきかない。
旅の僧は住職が無言の行をしているのだと勝手に思い込んで、身振り手振りで問答をしようする。
 自分の胸の前に、指で小さな丸を作って前に突き出すと、住職に成りすました六兵衛、若い僧を睨み付け、
両手を大きく動かして円を書く。 それを見た旅の僧は、住職の六兵衛さんに平伏してしまいます。
次に、その僧は、両手を開いて前に突き出すと、住職の六兵衛は片手で5本の指を立てて前に出す。
すると、又も旅の僧は、平伏してしまいます。 最後に旅の僧は、恐る恐る3本の指を立てて前に出すと、
住職の六兵衛は「あかんべー」をする。 旅の僧は、またも驚いて平伏すると、逃げるように寺を出て行く。
さっぱり意味が分からない八五郎は、彼を追いかけ、どんな問答をしたのか尋ねます。
旅の僧がいうには 「御住職は無言の業の最中であられるので、先ず胸の前に小さな輪を作り、御住職のお胸の内は?と
尋ねますと、大きな輪を作られ『大開法』、全く曇りなし、という。 次に十本の指を立てて『十方世界』はと尋ねますと、
御住職、五本の指を出され『五戒で保つ』と申されました。 最後に3本の指を出して『3尊の弥陀』は、と尋ねますと、
御住職、目の下を指され「目の下にあり」と申されました。愚僧の及ぶ所のない、御住職です」と言って寺を出った。
感心した八五郎が住職の六兵衛の所へ来て、何時の間にあんな問答なんかを覚えたかと尋ねると
六兵衛カンカンに怒って、「あいつは旅の僧じゃなくて、ただの乞食だ」と言う。 先ほどの問答の内容を八五郎が聞くと、
六兵衛曰く 「あいつは、俺が蒟蒻屋だと知ってやがって、先ず、小さい丸を作って、お前の所の蒟蒻は、こんなに小さいって
言いやがるから、こんなに大きいやい、って言ってやったんだ。 そしたら十丁で幾らだと聞きやがったから、
少し高いが5百文だって言うと、3百にまけろ、って言いやがるから、あかんべーをした」
 ・・・・・・・・
 これを読むと、かなり深い示唆がある。「世界の深さは、世界を読む人の深さにかかってくる」いっけん頭でっかちの
若い僧侶を揶揄しているが、その人の知識の深さで、世界を如何読むかの話になってくる。知識とは、そういうものである。
知っている以外のことは知らないのである。知るには、長年の経験と読書でしか得ることが出来ない。
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2884, 被膜で隔てられて
2009年02月26日(木)
 「ことばの顔」ー鷲田清一    中公新社
 被膜に隔てられてー ミッシェル・セールの哲学
     ーもし君が身を救いたいと思うのなら、君の皮膚を危険にさらしなさいー
何気なく読んでいたら鋭い指摘に、深く納得した。
   ーその一部をまとめてみるー
 私たちは傷つくことを深く恐れているらしい。いつも被膜越しに、防禦壁ごしにものに、出来事に関わろうとする。
 関心がないわけではない。強く惹かれるけれど、それにふれて、ぶれてしまうことを恐れるのだ。 
 そう、火遊びをこわがるのだ。 とりかえしのきかない痕跡が残ることを怖がるのだ。
 TV、ビデオをまるでマジックミラーをのぞくかのように、まるで透明人間のように、他人のプライベートな空間に入って
 行きたいと思う。あるいは殺人事件の現場、他人のセックスを身近でみたいと思う。自分がその場に身体をもつことなく。

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02月26日(金)
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