ID:54909
堀井On-Line
by horii86
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■3051,人を殺すとはどういうことか
「人を殺すとはどういうことか
   ―長期LB級刑務所・殺人犯の告白」  [著]美達大和

 図書館で何気なく題名に引き寄せられて立ち読みをしたが、その生々しさに立ちすくんでしまい、
借りてきた本である。LB級刑務所は長期の重犯罪者達の檻、その大部分は良心のカケラもない人たち。
 これは獄中でつづった特異な半生記・観察記で、今年になって出版されたもの。
著者自身が2件の殺人を犯し、無期懲役刑に服しながら獄中でつづった手記で、前半が自分の半生。
後半が刑務所の他の受刑囚たちの観察記である。 本人は今も無期懲役に服している。
高い知能と冷徹さを生かして社会的な成功を収めた後、自らの価値観に従ってふたりの人間の命を奪う。 
逮捕後や公判中も罪の意識はまったく感じなかったが、検察の論告を聞いているときに突然、
情動のスイッチが入り、後悔や反省の念がわき起こる体験をする。
 最初の殺人は26歳のとき、金融業で成功を収め、ヤクザの組織に在籍していたときに起こした。
用意周到な犯行ですぐに発覚することはなかった。 2件目の殺人はその数年後。
その動機について「私から見て誠実と感じられなかった被害者の言動などが主因になりました」という。
2件目の犯行で逮捕され、1件目の犯行が発覚。 

 その後、償いの日々を送りながら他の受刑囚を観察し、犯罪の動機や今の感情についてインタビューを試みる。
そこでみえてくるのは、フィクションでは描ききれない矛盾に満ちた人間の生々しい姿。
強盗殺人を犯したある男は、被害者に「全くざまあみろだ」と言い放つほど冷酷な人間が、TVのご対面番組には涙を流す。
ヤクザ同士の抗争で殺害した被害者の強さを畏敬し「ヤクザとしての自分の生き方がしっかり決まった」と出所していった男。
また受刑者に共通する「異常な執着心」「利己心の強烈さ」など18点もの負の特徴を上げる。
長期刑務所は“反省や更生とは、ほとんど無縁の”“悪党ランド”というほど人間に対する希望を失う。
そこが犯罪や裁判のテクニックを学習する場所になっていることを憂慮している。
受刑者が「向かってくるから刺しちゃったよ」「黙って言う通りにしてりゃ殺されなくてすんだのに」
「あんな所に居やがって、お陰でこっちはこんな所だ、チクショーめ!」といった具体的な言葉も紹介する。
 著者に対して性格鑑定が行われているのだが、その報告書において鑑定人は
「当職は、30年の職歴の中でこのような奇跡的な知能レベルに遭遇するのは初めて、他の症例を調査しても前例がないこと。」
と記するほど、比類ない知性の持ち主。 彼は自伝の中で「粗野な在日韓国人の父と品のある美しい母、経済的絶頂と零落、
商才と稼業、典型的なヤクザ者の生い立ち」を告白する。
 第二章以降は12人の同囚受刑者へのインタビュー。獄中でその罪と心象風景を聞きとったうえで、最後の一人を除き、
淡々と記述する。相手はすべて殺人犯である。 そこで彼は「罪と罰は均衡しているのか、矯正と刑罰は両立しうるのか」
という問いを司法と法執行に投げかける。 現役の囚人が書いた生々しい仲間の姿が生々しく痛ましい。
  阿部譲二とその御仲間達とは、少し違うようだ。

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2686, 人生のハレとケ
2008年08月12日(火)

以前に何度か取り上げたことがあるが、再びハレとケについて考えてみる。人生にはハレのときもあれば、ケのときもある。
ハレは、田舎の祭りや、稲刈りのとき、(晴れ晴れの時)ケはそれ以外の地道な日々の生活である(ケチケチ、倹約の時)。
 我々は、この二つのリズムの中で生きている。過去を振り返った時を考えれば、華やかの出来事に目が行くが、
しかし何気ない出来事の方が深い味わいがある。書いたことすらも忘れていた学生時代の日記が半年分、倉庫の奥にあった。
そして、その日々を此処で連日書いた。それを読み返すと何気ない日々が、何と面白いかがわかる。
ハレもケも書いてあったことで面白かった。私のハレを振り返ってみると、それが秘境・異境ツアーであり、

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08月12日(水)
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