ID:54909
堀井On-Line
by horii86
[399049hit]

■1277, [人生の目的]ー五木寛之著ー読書録
         
 数年前に話題になった本だが、当時あまり興味を示さなかった。
先日、たまたま図書館にあったので借りてきて読んでみた。
幼児期のころから、かなり厳しい生活体験をしている為、
書いてあることは暗いが、しかし重い。
彼のーあとがきにかえてーの一文が、全てこの本を伝えている。

ーー「人生に決められた目的はない、と私は思う。
しかし、目的のない人生はさびしい。寂しいだけでなくて、むなしい。
むなしい人生は、なにか大きな困難にぶつかったときに、つづかない。
 人生の目的は、「自分の人生の目的」をさがすことである。
自分ひとりの目的、世界中の誰ともちがう自分だけの「生きる意味」を
見出すことである。変な言いかたになるが、
「自分の人生の目的を見つけるのが、人生の目的である」と言ってよい。
そのためには、生きなくてはならない。生きつづけてこそ、目的も明らかに
なるのである。「我あり、ゆえにわれ求む」というのがわたしの立場だ。

 その目的はナカナカ見つからないものである。
確実に見つかるのは目的でなく目標である。
目標は達成されれば終わる。残るのは達成感だけである。それも直に
薄れていく。

 人生の目的とは、おそらく最後まで見出すことのできないものだろう。
それがいやなら、もうひとつ、「自分でつくる」という道もある。
自分だけの人生の目的をつくりだす。それは、ひとつの物語をつくることだ。
自分で物語をつくり、それを信じて生きる。
しかし、これはナカナカむずかしいことである。
<悟り>という物語、
<来世>という物語、
<浄土>という物語、
<来世>という物語、
<輪廻>という物語、
それぞれが、偉大な物語だ。
人が全身で信じた物語は、真実となる。

ーー

以上だが、深い人生を生きてきたからこそ、このような文章が書けるのだ。
最近、両親の生きざまが、いやに思い出される。
私にとって両親を尊敬できるのが、本当に嬉しいとつくづく思う。
あと5年もしたら、どうしても過去を振り返りながら、
ソフト・ランディング態勢に入らなくてはならない時期になる。
その時人生を振り返っテ「自分の人生の目的」とは何だったのだろうか、
と総括をしなくてはならない。
苦しいが、しかし冷徹に自己評価をしなくてはなるまい。

この本に、前回借りた人が書いた、メモが挟んであった。
達筆な年配の人のような字だ。
それを書き写してみる。

「他力の信は義なきを義とす。
 生きている限り生老病死の影は、私たちにさしつづける。
 このことは、わがはからいにあらず
 災難に会うときは会うがよろし
 死ぬる時は死ぬがよろし
 
 人生は暗夜の山中行である
 人は彼方の灯火に勇気づけられる
 それを他力本願という」
 
 ・・・・・・・・
 ・・・・・・・・
 
 生きる目的

ー目次ー

ーなぜいま人生の目的かー

・胸につきささる事件のこと
・あたりが暗くなってきたという感覚
・なぜ自殺者が劇的に急増したか
・雨にも負け、風にも負け、それでも生きつづける
・人生に目的はあるのか
・人間とは不自由な存在である
・才能が開花するのも運命ではないか
・努力と勇気も天与の資質という考えかた
・生まれること、その不公平な出発点
・陣しえの目的を考える必要のなかった時代
・希望や努力で克服できない「宿命」をどうするか
・はっきりした人生の目的をもつ人
・人間としての共通の運命
・同じ運命を背負った者の自然な感情
・人はなぜ人を殺すのか
・生きること、生きつづけることこそが
 
ー肉親についてー

・絆は人間にとって厄介なものか
・これからは手に職をつけるのがいちばんだ
・若さは常に残酷で身勝手なものである
・肉親の消滅を願う自分の浅ましさ
・世間の絆から開放される道
・<家>という精神的連続性は解かれたか
・<個>のインド文化、<家>の中国思想
・個の確立と個の孤独

[5]続きを読む

10月01日(金)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る