ID:54909
堀井On-Line
by horii86
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■4864,「事業人生を決心して45年」の語り直し ー32
あらたな経験を積み、地平が移動し、拡大すれば、これまでわからなかったものの値打ちもわかるようになるだろう。肝心なことは、
自分の足下にある地平を通常、ひとは意識しないということである。自分にどれだけの経験があるのか、どのような価値基準をもって
いるのかのリストをもっている人は誰もいない。いつの間にか身につけた価値観や経験に応じて、ひとは、その場の諸問題に対処する。
その結果、各人は、自分でも気づかないまま自分の地平に束縛されている。 なにしろ、自分がどのような価値観や経験を
持っているかを客観視する方途はないのである。 しかも、このように地平に幽閉された状態であるかぎり、
それぞれは自分がそれまでに身につけた価値観や経験から、身の回りのすべてのもの、したがって他人をも判断するしかない。
もし、相手が自分とは異なる地平に立っていれば、その相手の言うことや、やることはまるで理解の範囲外ということになる。
古物に意味を認めない人物には、物置の掛け軸を二束三文で売ってはいけないという人物の言うことは理解できないのである。
では、この状況が変わることはありえないのだろうか。自分とは異なる他者を理解しうるためには、各人が「心を開いて」
いなければならないとガダマーは言う。他人の言葉や行為をすべて自分の地平の枠内で処理しているかぎり、そもそも
【自分とは異なるものがいる】ということ自体に気づくことはない。けれども、何かのきっかけで、自分が何らかの地平に
とらわれていることに気づくときがある。そのときはじめて、ひとは自分の地平を対象化し、相対化するだろう。そして、
それまで自分がとらわれていたのとは別の地平もありうるということに気づくことになる。 官僚出身者特有の話し方をしていた
政治家も、落選が続けば、土地の人たちの言葉でしゃぺり、かつ、自分の意見を伝えることができるようになるだろう。  
▼ 他人から理解してもらえないという嘆きほど、バカバカしいことは以上からみても解るだろう。
 一人の人間を理解するなど、到底不可能でである。自分でさえ理解できないのに。ただ馬鹿なオッサンだけは解るが! 

07月09日(水)
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