ID:54909
堀井On-Line
by horii86
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■4854,「事業人生を決心して45年」の語り直し ー24
 ガン告知と、末期がんの死期の告知とは違う。 その辺が曖昧になっているから、医療現場では残酷な問題が生じる。
「あと半年!」と言われて、果たして抗しきるというのだろうか。この女性は、正直にその辺の気持ちを吐露している。
その瞬間から、砂漠の真っ只中の炎天の中に置かれたようになるという。それまで生きてきた分の人生を、
その期間の僅かの間に生きるのである。だから死ぬ時は、その人が生きてきたように死んでいくのである。
 ー以下は昨日の、続きー
我がことながら、いまもってその行為(祈り)の意味、内容を言葉で説くことはできません。最初は確かにわかりやすかった。
「助けて」「治して」といった懇願でした。が、いつの間にか意味不明、質、量もつかめぬまま曖昧な時間に変わってしまう。
いわば、からっぽ。・・・・中略  私の住む京都は数え切れぬほどの宗派が密集しています。そこで多くの宗教的なる行事、
儀式に参集し、指導されるまま念じたり、動いたりしてきた。そこで何となしにつかめたのが、炎、音、匂い、金銀極彩色、
像、言葉、残酷な修行のいずれも、からっぽになる為の巧みな装置であるということでした。それらを駆使して何処かに導くのが、
僧侶、宗派の教祖であるようで、彼らは演出家といっていい。人の祈りにさらされ、磨かれた回数、機会が多い宗派ほど、
その演出、導きの巧みさが際立っているのは言うまでもありません。それを理解してなお、告知されて後の恐怖のリアルを
とりあえず騙す、目くらまし剤は今考えても、どうさぐってもあの、からっぽへと導く行為の蓄積以外にはなかったと思います。
それにしてもテレビなどで紹介されると必ず数十通の手紙が局に届き、数人がわが家を訪れます。ほとんどが健康食品と
宗派への勧誘です。そこで語られ、展開される論旨、勧誘の説得法、術はどれもきわめて似ています。訪間者の全員が
確信を瞳に浮かべ、強引に部屋に進入し、笑顔を湛えています。これで貴女は救われますと断じます。 彼らの確信する
「やさしさと善良さ」を如何拒めばよいのか? 形も効果もない空っぽだけが私を支えうる、と善男善女に伝える術を
今だ見つけられず、戸惑うばかりです。          ーおわり
 ▼ ー死は誰にとっても永遠なる闇の空洞。その空洞はその大きさ、質感、彩など具体的に知るうる
 捉えきれないゆえに言いしれぬ恐怖を誘います。想像力のなかに位置するブラックホール。
  (字数制限のためカット2010年6月29日)

06月29日(日)
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