ID:54909
堀井On-Line
by horii86
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■6975,読書日記 〜意味づけることができる者は、幸いなり
  日本では、自殺が文化の一部になっているようにさえ思える。
  過労や失業、倒産、いじめなどで、自殺で自身の名誉を守る、責任を取る、
  といった倫理規範として自殺がとらえられていて、これは他のアジア諸国や
  キューバでもみられる傾向である。
 ・第二次大戦後、社会保障が整備される以前は高齢者の自殺率が高かったことや、
  戦後の価値観の大転換などで若者の自殺率が急増したことが原因で1958年の
  自殺率25.7人は過去最高の値になった。
 ・その後、1959年国民健康保険法施行、1961年国民皆年金など社会保障制度の充実や
  1960年所得倍増計画に代表される経済成長目標の国民的普及により、自殺率は、
  15人前後への低下した。国民全体で明るい夢を抱いていた時代だった為だ。
 ・その後、1973年のオイルショック前後から自殺率は上昇に転じた。
  あまり注目されなかったが、1983年の景気後退は自殺率の急増
  (前年の17.5人から21.0人へ)を招いた。
 ・1997年秋の三洋証券、北海道拓殖銀行、山一証券と立て続けの大型金融破綻
  事件がきっかけとなり、98年の5月にかけて失業者が急増し、自殺率も、
  97年から98年にかけて18.8人から25.4人へと急増した。
  このときは自殺者数も前年の2万3千人台から、一気に3万1千人台へと
  急増したこともあり社会的に大きく注目を浴びた。
  そして、その傾向は十年経つ現在も続いている。
  −−
  時代の変化と、それによる経済的困窮が自殺の要因として大きくなる。
  激変の中、生きていくことは大変である。 「死にたくない」と同じように
 「死にたい」という気持ちも自然である。
  死など存在してないのだから、気持ちの一現象でしかないが。
  
 ーーーーー
 2004/07/24
 1208, 自殺 3万4427人

 昨日の新聞の一面トップに、昨年の自殺者が前年より7lも増加して
 3万4427人と報じていた。
 
   ー内容をまとめてみるとー
・原因として、病苦が45l、経済苦が25l
 特に経済苦の増加が目立って増えている
・40歳以上が、4分の3を占め
・男女の比率は、男子が70l、女子が30l
・鬱病が30〜70l。他の精神疾患を入れると、殆んどが精神疾患があった
・1997年まで、年間2万〜2万5千人と推移していたが、
 1998年から3万人台になり、ついに3万4千人になってしまった
・職業別に見ると、無職が半分近くだ

20万都市で週に一人が、日本全体で毎日94人が自殺で亡くなっていることになる。
大都会の真ん中で失業をして、駅などの人ごみの中にいると、ふっと虚無が
自分を覆いこみ電車に飛び込みたくなる衝動に駆られるという。
何か解るような気しないでもないが。
「自殺は最後に残された意思の遂行」というが、その心中は当人でなくては
解るはずがない。しかし自殺をしようとする人の大部分が
「ほんとうは死にたくない、誰かに声をかけてもらいたい」という。

歳をとり、連れ添いに先立たれ、重い病に侵され、一人孤独に毎日を
過ごしていたら、自分でも死にたくなるだろう。
簡単に「自殺はすべきでない」というが、絶望と孤独の岸辺に立っている人
の立場からみれば、その苦しみをから解放される唯一の方法かもしれない。

ゲーテの「若きウェルテルの悩み」の中で、主人公ウェルテルと愛するロッテの恋人
(後の亭主)のアルベルトとの自殺の議論があった。
ーウェルテルは人間の本性には限界があり、喜び、悩み、苦しみもある程度まで
耐えられるが、限界を超えると破壊してしまう。自殺は、けっしてバカな人間や
卑怯者がするのではなく、生きることに悩み、迷ってどうしても出口が見つからない
時に仕方なくとるものと主張した。一方、アルベルトは自殺に対し徹底的に反感を持つ。
彼は「苦しい人生を対し忍ぶ事ができない‘弱さ’から引き起こされる」と考えていた。

この世で最も尊いものは、愛である。しかし、人間に喜びを与えるはずの愛が

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04月19日(日)
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