ID:54909
堀井On-Line
by horii86
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■7365,閑話小題 〜2020年の自殺者数が2万1081人
 以下で、新型コロナウイルス感染拡大が世界経済にどのような形で影響を
及ぼすのかを考えてみたいと思います(あくまで筆者個人の見解である)。
  ◉ リーマンショックとは逆の流れ
リーマンショックの発端は、米国のサブプライム住宅ローンの不良債権化でした。
これらの信用不安に伴う金融機関の破綻や、公的資金注入によって、世界中で
株価が大きく落ち込み、消費や生産活動の低迷を招いたことで、世界的な大不況
を巻き起こしました。
 リーマンショック時、皮肉なことですが、当時の日本は長引く不況もあって
関連債権への投資額が少なく、おそらく先進国としては初動のダメージが最も
少なく済みました。しかし日本国外での生産および消費が大きく落ち込んだ
ことで、結果的に日本の実体経済も大きな打撃を受けることとなりました。
 このリーマンショック時における経済への影響は、
「金融業 → 製造業(2次産業、生産) → サービス業(3次産業、消費)」
という流れで波及していったと言えます。金融の信用不安発生によって製造業の
キャッシュフローが滞り、生産が落ち込んだことで個人消費が冷え込み、
サービス業も打撃を受けていったという流れ。
  ◉ 観光業、飲食業、小売りから影響が拡大
これに対し今回のコロナショックは、逆の流れで影響が広がっています。
コロナショックで最初に影響を受けた業界は観光業であるといって間違いない
でしょう。中国において1年のなかで最大の旅行シーズンである春節(旧正月)
直前に実施された武漢市封鎖、それに伴う自粛命令によって、日本を含む世界
各国の観光業者が大きな打撃を受けました。
 その後、各国の外出自粛命令によって飲食業や小売業も大きな打撃を受け、
感染者の隔離政策や工場稼働停止命令などにより製造業の生産活動も大きく阻害
されました。特に製造業においては、物流も止まったことからサプライチェーン
の寸断が起こり、今もなお多くのメーカーで供給面での混乱が続いています。
 そして3月に入って欧米でも感染症の流行が広がると、冒頭で述べた世界的な
同時株安状況が発生しました。
 以上の流れは「消費 → 生産 → 金融」という順番です。つまり、リーマン
ショックが川上から川下へと影響が波及したのに対し、今回のコロナショックは
川下から川上へ波及していると言えるでしょう。
  ◉ 財政出動は処方箋となるのか
 こうした経済危機の“震源地”の違いは、各国政府の財政出動の効果に影響を
与えます。 前述の通り、リーマンショック時は、まず川上に当たる金融業界の
信用不安やデフォルトによって資金が滞り、川下である製造業においてキャッシュ
フロー問題を引き起こしました。それだけに、公的資金注入といった金融機関救済
をはじめとする政府の緊急財政出動は即効性のある処方箋となり得ました
(もっとも、当初はEUをはじめ誰が最終的な負担を請け負うのかで揉めたため、
財政出動が必ずしも迅速に行われたわけではありませんでした)。
 今回のコロナショックは、小売をはじめとする第3次産業の現場が震源地です。
それだけに中央銀行などが金融機関へ向けて資金供給を増やしたところで、リーマン
ショック時とは違って、震源地に対する直接の救済策とはなりません。その効果が
第3次産業の出血を止めるにまで至るかというと、可能性は薄いと思われます。

  ◉ 現金配布は効果を生むのか
 では、直接的に消費を促すのがいいのでしょうか。安倍政権周辺では国民に
現金や商品券を配布する案も出ていますが、こちらについてもその効果は疑問です。
  ◉ 翌年は如何なる…
 コロナショックの場合、需要の有無にかかわらずヒトやモノの移動が突然止まり、
消費の現場が真っ先に影響を受けるという点で、過去の不景気とは大きく趣が
異なっています。加えて、次の冬も新型コロナウイルス感染症が再び流行し、
現在各国で行われている渡航制限や隔離措置が行われる可能性があります。
その場合、経済への打撃は来年度も継続することとなりそうです。

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04月14日(水)
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