ID:54909
堀井On-Line
by horii86
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■6310,閑話小題 〜再び、基底欠損を考える
それは下手したら温かい99%を無にしてしまうようなすごい闇です。
「俺の気持ちをわかってくれ!」という精神的な甘えも強烈で、カッとして暴れる
こともしょっちゅう。じゃあなぜ寅さんにこのような攻撃的なエネルギーが
生まれるのかと考えた時、「基底欠損」という精神分析用語がハッと頭に浮か
びました。幼い頃、親に甘えても受け入れてもらえなかった。おっぽいが十分
に吸えなかったとか、抱っこしてもらえなかったとか、満たされるべき欲求が
満たされなかった。そういう根本的な愛情や安心感の欠如が、大人になって
から甘えたり、無理を言うことにつながってしまう。寅さんもそうすることで、
親に拒絶された「欠損」を埋めようとしているんじゃないかと解釈したんです。
◉山田:とても面白いですね。「基底欠損」という言葉を初めて聞いたし、そういう
心理学的なことは何も知りませんでした。だけど、寅みたいな人間はどこか心
の中に空洞があるんだろう、そういう人間って、赤ん坊の時がひどく不幸
だったと考えて、寅が産みの母に捨てられたという設定にした。≫
▼ 私の母親が、世にも珍しい<ママ父>虐めの被害者。その恨み辛みを、
ことあるごとに聞いていた。3人の子供を残して逝った父親の後添えに、
祖母は男後家と再婚、八百屋を維持した。その義父との間に4人の子供が
できたが、義父は徹底して3人を虐めたという。祖母も、男後家の関係上、
3人には冷たくせざるを得く、一番末の母は、幼児の頃から、両親の温みを
知らないで育った。その為、自分の子供に対して、どう愛情を与えて育てて
よいのか、知る由もなく、それが、母親の「基底欠損」である。当然、その
子供も、基底欠損になる。何れも多かれ少なかれ、それを持っている。
両親の温みの実感が無いのも辛いものがあるようだ。 〜つづく
・・・・・・
2016/06/05
フーテンの寅の、本質と家族の幸せとは 〜A
* 強烈なミヤコ蝶々の母役 <山田洋次:名越康文 対談>より
なぜか、シリーズの中で印象に強く残っているのが、寅の母親。
ミヤコ蝶々が演じていたが、これがハマリ役。寅の『基低欠損』の原因である
関西のオバアチャン。 私事になるが、終戦直前に焼出された商家再建の中で、
産まれ育った。両親は商売に熱中、私を含めた8人の兄姉たちは、親の直の愛情
を受ける機会が少なかった。その中、末っ子もあって、兄、姉たちだけでなく、
多くの従業員の愛情を一身に受けたのが大きい。両親は、気が向いた時だけ
愛情を注いでくれていた。その代わり、美人の女店員に付いてまわっていた。
ふと思いついた言葉が、私に関しては「基底肥大」。兄、姉は、終戦の
最中の混乱で、『基低欠損』が大きくあったような。
〜これは、何れの家庭にいえることだが。条件と原因は、ほぼ同じ働きをする。
≪山田:自覚はしていないけれど心の中に空洞を持っている人間、寂しさを抱えて
いる人間は、そこを埋めたい埋めたいと意識の下で思っている。だから、時々、
ヒステリカルに怒ったりしてみんなに嫌われたりするということでしょうか。
名越:寅さんは第二作で実の母親に会います。しかし京都でラブホテルを経営して
いる母親役のミヤコ蝶々さんがこれまた強烈で、せっかく念願の親子再会を果た
したのに、「今頃、何の用やねん。あっ、銭か、銭はあかんで」と、サラッと
言われてしまう(笑)。
山田:撮影した後、そういう残酷な母親を演じさせた僕に、蝶々さんは
「気にしなくてもいいんですよ」と言うんですよ。「わてはこういう汚い役は
好きなんや。その奥に、人間のキラッとしたものが見えればそれでええんや」
と言っていました。
名越:さすが蝶々さんですね。この第二作の中で、蝶々さんは「どの世界に、
喜んで子供を捨てる親がいるんじゃ!」とズバッと言いす。-このセリフが心に
残るんです。ぞしてラストシーンでは、橋の下で、寅さんが母を追いかけている。
あの場面は本当に象徴的で、カウンセリングを山のようにやってきた人間から
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06月23日(土)
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