ID:54909
堀井On-Line
by horii86
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■3042,上杉謙信の家訓
         ー焼き尽くす季節にー  ー2
                  ますいさくら
  〜〜〜〜〜 (前日のつつき・・)
 
 でも、わたしは、いつか、自分が叫びだしてしまうことを知っていて、その前になんとかしなくては、
と思いながらも、周りに理解されたいとは、全然思わなくて、逆に、自分のことなんて易々と他人にわかられて
たまるものかと思っていました。一方で、わたしは、この家から逃げ出そとしていたのです。
理由は、ゆるやかにやってきた体の変化でした。思春期の体は成長していき、どす黒い癒と傷をいくつも
背負う醜いさなぎも、動けない羽を持ちあわせた蝶へと変身していったのです。
「兄さんの、わたしの体を見る目が怖い」何度も相談したのに、両親は耳を貸しません。
わたしは、ついに、父の選挙期間中に、通っていた中学校に火を放ちます。
どこか、わからない、どこかへ行きたかったのかもしれません。いえ、実際は、わざわざ放火しなくても、
よかったのかもしれないのです。しなくてもよいことばかりしてしまう。だけど、なにかしていないと、
いてもたってもいられない、やっかいな季節を迎えていたのです。
 校庭の裏庭から火は回り、火の粉は空中を這う,煙道'を作り、天空に立ち昇る陽炎となりました。 
なのに、大船という土地柄、松竹撮影所の映画ロケかと思ったみたいで、消火活動が大幅に遅れたのです。
そして、わたしは、だらしなく、酸欠で倒れているところを発見されました。
まるで、自分の激しさが、わたし自身を、焼き尽くしてしまうかのように。
 事件後-両親は、わたしを引取りに警察へ来てはくれませんでした。選挙期聞中だったからかもしれないし、
私という存在自体をなくしてしまいたかったのかもしれません。結局、わたしを守ってくれたのは、
少年法という法律だけでした。暴力を受けること、口を封印されること、それが生まれたときから、
すでに決定されていた事柄なら、自分でひっくり返して、踏みつけて、蹴散らして、何がいけないの?
 兄みたいに、父親の輝かしい学歴や経歴に押しつぶされ精神に異常をきたすより、わたしの方が、
よっぽど健康的なんだから。だって、わたしたち家族は、まるで表面は無傷で綺麗なフルーツに見えたでしょ。
でも世間なんてアホだから、その中身が、どんなに虫に喰い荒らされ腐っていようが、
量ろうともしない。指でつけられたへこみしか見つけられないじゃないって、そう思っていましたから。
 でも、時間の経過とともに、その気持ちは曖昧になり、不安なものへと変わっていきました。
わたしは、行き場所を探していたし、自らがその答えを出さなければならないことも知りました。
兄にどんな目に遭わされても流したことのなかった、涙も顔を伝わるようになりました。
そんな時に、生きる術を教えてくれたのが谷川俊太邸の本だったのです。

   ーーー
   現役の銀座ママが、よくぞここまで書けるものである。 父親も健在のようだし、
   火宅の内情をそのまま書いてよいのだろうかと、考えるのは、まだ書き手として甘いのだろうか?
   こういう背景があったから、銀座で双子のママの一人として生きていけるのだろう。
   私が学生時代に入っていた寮が、早稲田大学の理事の自宅の庭にあり、
   24室ばかりの馬小屋みたいな平屋の建物だった。そこに政治家志望の学生が数人いた。 
   さらにOBも卒業しても、酒を持って世間の憂さ晴らしにきていた。
   そのOBの中の兄弟と親しくなりと(弟は学生で在寮)その兄の政治家秘書と酒を飲みながら政治家の裏話を聞いていた。
   本人は県会議員になるのが夢だった。(その後、結果としてなったと風のうわさで聞いた)
   彼の政治家像の話が、‘ますいさくら’の両親の政治家の姿と酷似している。
   「政治家は、あるべき理想の姿をデッサンして、それを演じるのが仕事だ。
   自分が、ああだこうだは、存在しない。それも長年かけて、その虚像を創り上げ票に結び付けなくてはならない。

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08月03日(月)
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