ID:54909
堀井On-Line
by horii86
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■1586, 日本経済恐ろしい未来
 しかしその背景には、国が国民のために犠牲になってきた。
それは一時的には可能でも、いつまでも続けられることではない。

 現在もわが国の貿易収支は大幅な黒字を続けており、国全体としては
物が不足することはない。
しかし、わが国企業の国際競争力の低下、国内生産の空洞化、少子化などが、
輸入の増大を招き、国内産業の衰退が加速する日がくる。
輸出は減少、貿易赤字が拡大していく。
わが国が持つ対外純資産179兆円(2001年末)を使えば、
これで赤字は埋めることができよう。
だが、対外純資産を使い果たせばそこが限界となるはずである。

 わが国の経済力が弱くなり、国の信用を失えば、円売りが増大し、円相場は下落する。
円に対する将来不安が高まる。
国は円を買って円安に歯止めをかけようとするから、保有外貨を使い果たす。

 そこで一転してインフレが起きる。インフレは進行し、悪循環が始まる。
もの不足になっても、原材料や燃料の価格が高騰するために、生産活動が
ままならなくなる。いわゆる悪性インフレーションへと突入するのである。

 現在の金利水準は異常に低い。
景気浮揚策として、資金需要がないにもかかわらず、資金の供給が続くからである。
しかし経済の正常化とともに、いずれ金利は普通に戻るが、20年後、日本の経済が
インフレ体質になった場合、金融事情はまったく変わってくる。
長期国債の金利は6%以上となろう。インフレ抑制のためにも、金利は引き上げられる。
将来に不安が高まり、国債価格は下落する。

 低金利時代に、少しでも高い金利を得ようと、長期の債券に投資した人は多い。
大量に債券を保有している人や会社は、この値下がりにより大きな被害を受ける。
長期国債を多く保有するのは日本銀行をはじめ政府関係機関だが、
それは最終的には国民のものである。
値下がりによる評価損に見合う積立金を準備しなければならない金融機関も
大波瀾に見舞われるであろう。

 2002年度の予算をみると、年間の税収は47兆円。
これに日銀の納付金を中心とした税外収入4兆円を加えた51兆円が政府の収入予算である。
このうち地方交付税交付金が17兆円あるから、これを除いた34兆円が政府が
年間に使うことのできる可処分総額である。

 これに対し、支払面では、国債を主体にした金利支払が10兆円近くある。
これを引いた25兆円弱が実際に政府が予算として使える金額である。
ところが、支出予算の中核となっている一般歳出は48兆円弱となっている。
すなわち23兆円不足する計算になる。
これが実体としての赤字であるが、バランスさせるには、
一般歳出を25兆円へと半減させるか、23兆円の増税が必要になる。

 その赤字分を埋めてきたのが赤字国債である。
これを返済していかねばならないが、長期国債の償還期限は原則として
60年という無謀な長さである。
経常的な費用に充当したものだから、本来なら短期に返済しなければならない。
赤字国債を発行し始めた当初は、10年間で返すことにしたが、実際に返済計画を
立ててみると、毎年1割ずつの返済ができないことがわかり、60年で返すことに
変更してしまったのである。

 2002年度末の予想では、政府の長期債務は総額528兆円になる。
このうち建設国債が215兆円、いわゆる赤字国債が182兆円になるが、
その他の借入金などを加えると313兆円になる。

 建設国債を40年間で、それ以外の長期債務を5年間で返済すると、
毎年の返済額は約68兆円となる(建設国債分5.4兆円、それ以外が62.7兆円)。
これに経常的な赤字23兆円が加わる。
結局、合計91兆円を毎年捻出しなければならないのである。
過去におけるわれわれの行状がどれほど酷いものであったかを率直に見つめる
必要がある。

もはや放置しておくことはできない。
支出の圧縮をやっても、とても追いつかない。
一般歳出を2割削減したとして10兆円弱が浮く。
残り81兆円は増税による以外に方法はない。その負担を企業に負わせることは難しい。

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08月06日(土)
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