ID:54909
堀井On-Line
by horii86
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■1319, スリッパの原則
その男の名は晴留屋明という。
彼は借金1億5千万を返すために、今日も歌舞伎町に立ち続ける。

■いい人なんだなぁ〜

こんな多額の借金を背負っているからと言って、晴留屋氏が決してナマケモノ
だった訳ではない。むしろ勤勉でまじめな人だ。
殴られ屋なんて商売をしてはいるが、昼間はちゃんと仕事をしている。

ごく普通の電気工事会社の社長であった彼は、自ら進んで働き社員には
優しい男だった。どんな駄目な人間でも辞めさせたりせず、なんとかいい所を
見つけてやろうとする。また情にもろく、貧乏教会から頼まれた工事を破格の
値段で引き受けてしまう。情に厚いといえば聞こえがいいが、
結局はお人よしなだけである。人としては合格だか、社長としては失格である。

結局その人のよさが災いして、お決まりの連帯保証人→債権者失踪という
パターンにハマってしまう。バブル崩壊の時によくあったアレだ。

まあだから、本当は晴留屋氏はぜんぜん悪くない。
たまたまお人よし過ぎただけだ。

■あと3日で止めろ。さもなきゃ死ぬぞ!

 ある日彼がいつものように歌舞伎町で客に殴られていると、酔っ払った
ヤクザが近寄ってきて、涙しながしながらこう言ったそうだ。

 確かに殴られ屋なんて商売は危険きわまりない。そもそも彼はなんでこんな
商売をしているのか?それはもちろん借金を返すためなのだが、もっと他の
方法はないのだろうか?結論から言ってしまえば、ある。
自殺して保険金を借金返済にあてるなり
(偶然にも晴留屋氏の保険金は1億5千万だったそうだ)、
死なないまでも自己破産するという手もあるだろう。
僕なら間違いなく自己破産を選ぶ。

しかし晴留屋明は「殴られ屋」という道を選んだ。
なんという馬鹿だ。

自殺や自己破産のようなネガティブな事はしたくない、人様から借りたものは
返さなきゃいけない、というのがその理由だ。
財産といえば、ボクシングで鍛えたという自分の体だけだ。
できる事といえば殴られ屋しかない。

それにしても、なんという不器用な生き方だろうか。
つーかお前、そんな事いってる場合かヨ!奇麗事ばっかり言いやがって。
借金一億五千万を返すためには、一分間千円として15万人に殴られなくては
ならない。15万人!?できる訳が無い。僕ならさっさと自己破産する。

でも、彼はできると信じている。

頭では無理だと思いつつ、本を読んで体の奥から震えがくるのは、
僕だけではないはずだ。男だったら誰もが共感せずにはいられないだろう。
いや、女にだってわかるはずだ。
僕や君にこんな波乱万丈な生き方が出来るだろうか。

■勇気をもらう

しかし晴留屋明は一人ではない。
彼の生き方に共感した多くのサポートがいる。サポーター達は無償で彼を
支える。多くの人がもともと客として晴留屋を殴りにきて、その生き方に
感激し、勇気をもらった人々だ。

そもそも彼には妻と子供がいる。今はこんな生活をしているので一緒に
暮らしてはいない。彼のささやかな夢が、家族と再び一緒に暮らす事だという。
本当にささやかな夢だが、実現は困難と言わざるを得ない。
そのためには借金1億5千万を完済しなくてはならないからだ。

でも彼はできると信じている。

この本を読んで僕は根拠の無い希望を持った。勇気が湧いてくる。
いつか挫けそうになったら、歌舞伎町を訪れてみたいと思う。
あの晴留屋明に勇気をもらう為に。

・・・・・・・・・・・
578,  読書について
- 2002年11月12日(火)

 以前「本を読むときのポイントは何か?」と不意打ちに聞かれて、
瞬時に出た言葉が「読みたいところを探して読む」であった。
小説や本の構造が大事の場合が多いから、すべての本にはいえないが。

「一冊の本からその真髄を一つを掴め!多くのものを得ようとするな!」
そう割り切ってそのノウハウを身につけた時、本屋や図書館は
知識の宝庫に変わる。立ち読みでも多くの知識を得る事が出来る。


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