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原案帳#20(since 1973-)
by 会津里花
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■アメリカ合州国大統領就任演説
『アメリカ合衆国大統領就任演説』というのを、「青空文庫」というサイトで見つけて、何人かの大統領の演説を和訳したものをプリントアウトしてみた。
まだ読んでないけれど、このくらいは知っておいた方がいいと思った。

アメリカ合州国は、「キリスト教国家」である。
イランやイラクが「イスラム教国家」であるのと同じくらい。

日本ほど宗教についておおらかな国は(いわゆる「先進国」のうちでは)むしろ珍しいが、たまたま軍事的に「同盟」(というより主従関係)を結んでいるからといって、アメリカも日本と同じように宗教に関して寛容だと思ったら大間違いだ。
日本人の多くはこの点に関してたいてい勘違いをしていると思うので、いちおうここに指摘しておく。
(いやもちろんこのことを指摘している人は既にいっぱいいるんだけど、政治・軍事その他米日の「主従関係」によって勘違いさせられやすい傾向はそれ以上に強力なので、誰が何度このことを指摘しても足りないだろうと思う)

それにしても、最もマイノリティに対して親和的で、最も平和を愛するはずのキリスト教を、憲法にも大統領の就任演説にも最前面に持ってくるほどの国が、やたらと喧嘩っ早くてまるでヤクザのようにあちこちに戦争を仕掛ける様を見せ付けられるのは、毎度のことながら情けない。
迷惑だからクリスチャンの看板なんか下ろしちゃえ。
そう言いたくて仕方ない。

でも、しょうがない。
宗教が政治と結びつくのは近代以前のやり方でしかなく、その古い価値観の中では戦争はちっとも悪いことではないからだ。

戦争を「悪いこと」と考える思想は、ほんの100年かそこらの歴史しかまだ持っていないのだ。
これから育てていかなければならない、まだまだ「新しい思想」なのだ。
(今でも「戦争は正当な政治行為の一つ」と思っている人も多いでしょう? でもそれ、古いよ)

アメリカ合州国は、かつては「若い国」だったが、今や同じ政治体制を200年以上も固持している「古い国」になってしまった。
だから古い価値観にしがみつかずにいられないのも無理はない。
しかし、もうそろそろ、歴史の牽引役を降りる段取りを始めた方がいい。

時代は、わたしたちにとってはゆるやかに、しかし歴史的には急激に、変化を遂げ始めている。

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ここからは(わたしがいつも言ってることだけど)極端な言い方になるけれど、宗教はあくまで個人に帰属するものであり、「宗教団体」すらわたしは肯定できない。
団体を築いて何かしらの利害関係が発生したとたんに、宗教は本当の意味で人の心を救うことも社会を「正しい方向へ導く」ことも、できなくなってしまう。

教会へ行くのは悪いことじゃない。
いや、むしろできるだけ行くべきだろう。
自らの弱さを知るために。
信仰の孤独を紛らして、「仲間がいる」ことの安堵を得るために。
そうすればわたしたちは、弱さゆえの過ちをいくらか回避できることもあるだろう。

しかし、教会の専従を養う以上のお金を差し出すべきではないし、まして社会に対して何かしらの影響力を行使しようなどと考えてはいけない。

もしも宗教の力でこの世を正しい方向へ導きたかったら、

ひたすら、祈れ。

一人で、祈れ。

信仰によってできることは、これに尽きる。
03月31日(金)
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